俺たちのように
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を振る。
ピキッ
「うっ!!」
リリースの瞬間肘に痛みを感じ表情が歪む。彼女の手から放たれたボールは、真ん中への棒球。
(え?何この絶好球!!)
カキーンッ
高々と打ち上げられた打球。ライトポール間際へと伸びていく打球を海未が懸命に追い掛ける。
「入って!!」
好投を続けるエースのため。そしてここまで勝ち続けてきたプライドのために叫ぶ。だがその想いはわずかに届かずフェンス上段へと当たった。
「もう!!なんでよ!!」
全速力で一塁を蹴る。海未はクッションボールを拾い中継に来ている凛に託す。
(園田さんは肩を痛めてる!!つまり中継の星空さんの後にもう1枚入れるはず!!)
彼女の読み通り凛はかなり深いところまで追いかけてきていた。あんじゅはそれを予測し脇目も振らずに二塁キャンパスを蹴る。
「凛!!3つ!!絵里!!もっと左よ!!」
「ニャニャ!?」
かなり深いところまで来ていたことで遠投になった凛。ショートの絵里も二塁ベース付近でそれを中継し三塁へと送る。
際どいタイミング。にこがベースを跨ぎボールを受け取りタッチする。
「セーフ!!」
「よし!!」
だがそれよりも速くあんじゅの足がベースに到達した。ノーアウト三塁。大きなチャンスを掴み取った彼女は両手を叩きガッツポーズする。
(よく走ったな、あいつ。スクイズで一点取ることもできるが、指揮しないって言っちまったからな)
ここからどうやって点数を取るのか見届けようとしたところ、フィールド内にいる2人が自分を見ていることに気が付く。
「監督。指揮をお願いします」
「「「「「お願いします!!」」」」」
全員で頭を下げるベンチ一同。ツバサはブルペンにキャッチボールをしていたためいなかったが、選手たちの願いを退けるのは気が引ける。
(できるならタイムリーが理想だ。初球は外す確率が高いし、まずは自由にいけ)
ダミーサインを送り2人にこの場面を任せる。案の定初球をバッテリーは外し1ボール。続く2球目は外へ逃げていくスライダーを空振り1ボール1ストライク。
(仕掛けるならここか。スタートは遅らせろよ)
三塁走者のスタートを遅らせて外されるリスクを低くする。ただし打者は確実にライン際に転がさなければならない。
(今の空振りを見ればもう1球スライダーだろ?なんとか当ててくれ)
恐らく大きく外に逃げていくことはないと腹を決める。サインに頷いた花陽が足を上げ下ろし始めたところであんじゅが駆け出した。
(スクイズ!?)
予想していなかった穂乃果は慌てて腰を上げる。花陽が投じたのはなんとストレート。
(真っ直ぐ!!高めだけど転がせる!!)
高めへボール気味
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ