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チェロとお味噌汁と剣のための三重奏曲
4. あなたのもとに駆けつけたくて(前)
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知り合えた……。なんて僕がソラールさんのエールに感激して胸を熱くしていたら、さっきのスーツの人がソラールさんを羽交い締めして引きずりながら、再びこっちに戻ってきた。

「いや、それは買いかぶりすぎだと思うよソラール先輩のこと」
「そうなんですか?」
「貴公……」

 ちなみに後ほどソラールさんから聞いたところによると、このスーツ姿の後輩の人ってのは、カシワギさんという名前らしい。近々、大淀パソコンスクールに遊びに行ってもいいかもしれない。こんなに楽しそうな人たちのパソコンスクールなら。


 一方……二回戦の方は、ロドニーさんが順当に勝ち上がる。集積地さんは、戦時中に一度ロドニーさんと戦ったことがある深海棲艦さんらしく、その時のリベンジをしたいと出場を決意したそうだが……壮絶な打ち合いの末、ロドニーさんの一本勝ちとなったそうだ。

「ところで赤城さん」
「はい?」

 決勝戦が始まるまで、あとわずか……僕は、付き添いで一緒にいてくれる赤城さんに、ちょっとした疑問をなげかけることにした。

 今回、剣術大会というから、僕はわざわざ防具を持ってきたわけだけど、ロドニーさんはもちろん、集積地さんも、防具を装備してない。ソラールさんにいたっては、妙ちくりんなお日様のイラストが入った、西洋の騎士のコスプレをしてた。

 つまり、正規の防具をつけてるのは僕しかいない。いや、ある意味ソラールさんの格好は防具と言えなくもないけれど……そんなことでいいのだろうか……。

「特に防具の規定はないですね。普賢院さんもお好きな格好で構わないですよ?」
「え、でもこれ、剣道の大会ですよね?」
「いえ。剣術の大会ですし」
「そ、そんなもんなんですか……」

 なんという気の抜けた答え……。初めて聞いた時から『剣術大会』となっていたのがずっと気になってはいたけれど、そんな理由だったのか……。

 赤城さんからの力の抜ける返答を聞いた後、僕は観客席をキョロキョロと見回した。特に、食堂の応援団がひしめく一角を重点的に見回す。鳳翔さんの姿は……まだない。

「……」
「……鳳翔さんを探してるんですか?」
「ひ、ひゃいっ!?」

 赤城さんに突然に図星を突かれ、変な声が出てしまった……そんな僕を見た赤城さんは、くすくすと笑いながら、僕のことを見つめてきた。この人の黒髪、つやつやしてるなー……

「先ほど、もうすぐお弁当ができると連絡がありました。試合が終わる頃には、持ってきてくれると思いますよ」
「そうですか」
「楽しみですね……じゅるり」

 まぁ、これだけの参加人数分のお弁当となると、かなり大量になるだろうしね……ちょうど決勝戦が終わる頃は、お昼ご飯の時間になるだろう。

 さて。今までのんびりと構えていたのだ
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