over Tokyo Bay―
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アもそれが分かっているのだろう。俺の嘘を力なく、笑って流した。
―次だ。
思いっきり武偵手帳のペンホルダーに指を突っ込み、中から『Razzo(ラッツォ)』と書かれた小型注射器を取り出す。
「アリア、ラッツォ―行くぞ!アレルギーは無いな?」
「な…………い……」
とても弱々しい声で、返してきた。
ラッツォ。アドレナリンとモルヒネを凝縮したような―気付け薬と鎮痛剤を合わせた、要は復活薬だ。
「ラッツォは心臓に直接打つ薬だ。―いいか、これは必要悪だからな」
「ヘ、ヘンなことしたら…………風…穴……」
「ああ―俺に風穴空けられるくらいに、元気になってくれよ―!」
ジジッ……とブラウスのファスナーを下ろし、ラッツォを打つ場所を探す。
胸骨から指2本分……ここだ。
ちょうどここのフロントホックの辺り。
「う……こ、怖い…………」
「アリア……聞こえるか!打つぞ―」
アリアは何も、答えない。ピクリとも動かない。
心臓の鼓動が……止まってる―!
ピンっ。とキャップを口で外し、思いっきり注射針を突き立てた。そして、ギュッ。薬剤を投入する。
「―戻れっ!」
ビクッ!とアリアの体が痙攣し、それに合わせて顔も赤くなっていく。
「―〜っはあっ!」
「!」
「って…えっ!?な……何これ…む、胸っ!?」
「自分の胸元見てみろ、そうすれば分かる」
アリアの胸元には、ぷら〜と突き立ててある注射器―ラッツォがある。
「ギャーッ!!」
JKとは思えない声を出し、注射器を乱暴に引っこ抜く。
「そ……そうだ。お前は理子にやられて、俺がラッツォで―」
「―理子………理子ーッ!」
ガシャッとガバメントを取り、乱暴に服を整え、扉に向かって走り出してしまう。
―ラッツォは復活薬と同時に興奮剤でもある。
アリアはクスリが効きやすい体質なのか―正気を失っているようだ。
自分と理子の戦力優劣が理解できていない―!
「ちょっ、待てアリア!」
俺はアリアの細っそい腕を鷲掴みにする。
「マトモに戦っても、今の理子には勝てないぞ!」
「そんなの関係ない!は・な・せ!!」
俺に手を鷲掴みにされたまま、鋭い犬歯をむいて喚く。
「少し静かにしろ!このままだと、同じ部屋にいて、俺とお前のチームワークが働いていないことがバレる!」
「そんなの別に構わない!」
っ……どうすれば黙ってくれるんだよ!
「理子はあたし1人で片付ける!だからチームワークなんてどうでもいい!」
俺の腕を振りほどいて扉に行こうとするアリアを、必死に押さえつける。
この両手は離せない。絶対に。
両手を離さずに、アリ
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