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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邪願 3
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かに丸投げするつもり? あたしたちで力になりましょうよ。さっき電話番号とチャットのID交換したの、秋芳君のも教えてあげて」
「え〜、俺はいいよ」
「声優さんとお近づきになれるチャンスなのよ!」
「どうでもいいよ、芸能人なんて。俺は物書きと役者はあまり好きじゃないんだ」
京子にはミーハー気質な面がある。陰陽庁の広告塔としてアイドル活動もしている大連寺鈴鹿のファンで、彼女が特集された月刊陰陽師を大事に保管してあるほどだ。
そんな彼女にとって駆け出しとはいえ芸能人の知り合いができるのはとても喜ばしいことだった。
いっぽうの秋芳は秋芳で俗嗜好で偏執愛的な性質持ちではあるが、芸能関係にはあまり興味がなかった。というより冷淡なところがある。
これは『なんで俺たち陰陽師が霊災修祓とか世の中に必要な仕事をしているのにたいして評価されない、給料が低いのに、歌だの芝居だの道楽を商売にしている連中のほうがちやほやされて稼ぎもいいんだよ!』というやっかみ精神からきている。
初見で秋芳をひがみっぽいと評価した彩菜の人を見る目は間違っていなかった。
「いいこと、秋芳君。そもそも陰陽道の元祖である中国には天文を観測し星の異変を査照する天文局というものがありました」(主張)
「うむ」
「そして天文局の職掌には楽士や伶人といった音楽を司る人たちがいました。つまり広義においては芸能人も陰陽師なのです!」(大主張)
「むむ!」
天文局に音楽や芸能を仕事にする人たちがいたのは事実だ。阿倍野や岸和田に住み着いた渡来人の多くは怜人の集団で、彼らは陰陽師でもあった。
陰陽道では音楽(雅楽)の音律と星の運行は一致していると考えられ、それぞれの音には方位や季節、色などがあてはめられている。
仏教音楽の声明や道教の長嘯術、琉球の逆歌や数多の呪歌――。
音楽というものは魔術や呪術でもあるのだ。
陰陽道と古典音楽・芸能には深い結びつきがあるのでる。
ちなみに海外からの音楽書をはじめて本邦に持ち込んだのは吉備真備で、彼は陰陽道と音楽とを一緒に持ってきている。音律と陰陽道は切り離せない関係にあるのだ。
「袖振り合うも多生の縁、義を見てせざるは勇無きなり、窮鳥入懐、仁人所憫!」(大喝)
「むむむ!」
京子は秋芳の説得に成功した。舌戦勝利回数三七。
「あははははは!」
ふたりのやり取りが妙におかしくて、お腹をかかえて笑い出す彩菜。
「……さすが声の仕事を目指しているだけあって、声量は豊かだな。アフレコ中にマイクを二本もぶっ壊したM川T之ほどじゃないが」
「きらいなわりに詳しいですね。て、すいません。お寺で大声出しちゃまずいですよね」
「いいのよ、お寺っていっても宗教施設じゃないんだし、宴会とかで大騒ぎするときもある
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