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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邪願 3
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とつでもだめになったら命もだめになる。生命を与えてくれる機能が同時に死をもたらす。
帝式陰陽術ほど派手ではないが、錬丹術は奥の深い技術なのだ。
「瘴気を祓う薬ができました、無味無臭になるよう作っていますのでそのままどうぞ」
「いや、これはありがとうございます」
「ところで動的霊災に襲われる心当たりなどは?」
「まさか、そんなものはありません!」
「なんでも彼女――花園彩菜さんがたまたま持っていた尊勝陀羅尼の札で退けたそうですが、ひょっとしたら憑かれている可能性もありますよ」
「…………」
「あるいは何者かの恨みを買い、呪詛されているとか」
「ひぇぇぇぇ!」
この男、人に恨まれ呪われる心当たりはあるらしい。
「どんなに些細なことでもいいので、あの場でなにをしたか。最近なにかあったか教えてくれれば、力になれるかもしれません。まぁ、呪捜部や祓魔局に相談するのもいいですが、むこうは完全にお役所なんで色々とめんどうなことがあるのでは? そのてん俺はただの呪術講師。個人的な相談ということで、気軽だとは思いませんか?」
丸薬にふくまれているベラドンナが効果を発揮し、川平の口を軽くする。
「いやその恥ずかしながら……、声優にしてあげるからと恩着せがましくサービスを要求しました」
「具体的にどんなことを?」
「身体を求めました! でもいきなりあの化け物が現れて……」
「なるほど、花園さん以外にもそういうことを?」
「はい。オーディションを受けた女の子に合格をちらつかせて猥褻な行為におよんだことはもう何回もあります」
「それで、その見返りにそれなりの便宜をはかってあげたんでしょうね。その子たちには」
「いいえ、まったく! やらずぶったくりでポイ捨てしました」
(この野郎、どうしようもないクズだな。少々の薬代をふんだくるだけじゃ気がすまん)
秋芳の耳に別室での会話が流れてくる。
「役者の表現ていうのは過去にある様式を踏襲しながらも、それを否定して自分なりの新しいものを創り出すものなんです! だれかの物真似じゃなくて、花園彩菜の演技を――」
「ええ、わかるわ。だって彩菜ちゃんの演技って他の子たちとはちがうもの。なんていうか、魂がこめられている感じ。あたしにはわかるの」
こんどは演技論を熱く語っている。熱のこもった口調からは夢や情熱が伝わり、よどむことのない言葉はたしかに声優らしい滑舌の良さを感じさせた。
(ふぅん、たしかに最近の若い声優特有のコンパチ作り萌え声アニメ演技、というわけじゃないな。芸能人も芸能人を目指すやつもあまり好きじゃないが、少し力になるか……)
「いいですか、川平さん。あなたそんなことばかりしていたら呪詛のひとつやふたつ受けますよ。いちいち祓っていたらきりがない、
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