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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邪願 3
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こと言わすんですか倉橋さん!」
「あははははっ、彩菜ちゃんてノリツッコミもできるのね」

(……うん、まぁアニメ声アニメ演技も良いかな)

 ちなみに秋芳がいる施薬室と京子たちがいる客室はそれなりに離れており、声が聞こえる距離ではない。
 にもかかわらずふたりのやり取りが秋芳に聞こえるのは簡単な呪をつかっているからだ。
呪術をもちいてべつの場所の会話を聞くにはいくつか方法がある。もっともポピュラーなのは感覚を共有した簡易式を置いておくことだろう。
 札のまま置いてもいいし、蜘蛛や蝶。草花などのありふれた物に擬態させることで盗聴器のように使える。
 自身の耳に指向性聴覚を持たせて遠くの声を聞くというのもある。
 秋芳は席を離れるさい、客室と自分の耳との間に音の道を作り、そこからふたりの会話を聞いている。
術の隠形などしていないため盗み聞き、という感覚は秋芳にも京子にもない。ある程度の腕をもつ呪術者にとってこのような感覚の拡大は日常の所作なのだ。
 陰陽師の館を訪ねた人が待っているあいだに供の者と話をしていたところ、あとから現れた陰陽師はその場に居なかったにも関わらず会話の内容をあてて来訪者をおどろかせた。などという話もある。
 呪術者に知れずに陰口をたたくことは容易ではないのである。

「蟲下しには栴檀や海人草だが、瘴気を祓う毒消しには犀角を単独でもちいるか」

 『神農本草経』に曰く。
 犀角味苦く寒し、百毒蠱注邪気瘴気を治す。鉤吻、鴆羽、蛇毒を殺し邪を除き、迷惑魘寐せず久しく服せば身を軽くす。(犀角の味は苦く体を冷やして余分な熱を取る。様々な毒、寄生虫、病を治す。草鳥蛇の毒を殺し、邪を除き悪夢に悩まされない。長く服用すれば体が軽くなる)
 犀の角は漢方では牛の胆石である牛黄や、カモシカの角である羚羊角と並んで万能薬とされている。

「お、顛茄(てんか)か、いいものがあるじゃないか。こいつを使うと舌の回転が良くなるんだよな」

 顛茄。またの名をベラドンナという。
 ベラドンナから抽出した成分には中枢神経を抑制する作用があり自白剤として使える。
 粉砕・混合・練合・浸出――。
 乳鉢と乳棒、薬研ですり潰し粉にしたものを混ぜ合わせて丸薬を作る。呪術師が呪力霊力を込めて調合した薬には常ならざる力が宿る霊薬となる。効能はおなじでも効果がけた違いなのだ。
 それだけではない。民間療法として伝わっていても医学的には実証されないような効果もあらわれる。ムカデは脚が多いので服用すれば足の血行が良くなるといわれるが、ムカデを触媒に薬を調合すれば、実際にその効果のある霊薬ができあがるのだ。
 体の何千もの部品が何千もの異なる機能を持っていてそのすべてが連携して作用することで人は生きている。もしこの不完全な機械のたったひ
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