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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
第20話 憂国の大和撫子と軍令部総長の不安 Ev07
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督の方々が、新しい戦術プログラム群に対応できず
 新世代艦の性能を引き出せなかった為と聞いております」

「まあ、山本中将なんかは艦砲戦、導弾戦、雷撃戦の三つを水準以上に指揮できるけどね。
 さて……戦術家として優れていると言われる提督は、
 これら無数の戦術プログラム群を使いこなして艦隊の全ての性能を引き上げることができる。
 平良少将も“この部分だけで言えば”東郷長官に比肩すると思うよ」

「東郷閣下は、それだけでないと?」

「そう。東郷長官と同じ戦域で戦った指揮下の味方艦隊は、
 実戦時には常にシミュレーション以上の働きをしている」

「図上演習のシステムやデータに誤りがあるのでは?」

「僕が軍令部総長になってからは、
 図上演習の結果を軽視しないよう通達し、システムやデータを見直してある」

史実ではミッドウエイ海戦の直前に行われた図上演習では、
MI作戦は損害が出て失敗する、という結果が予測された。
しかし日本海軍の将官や参謀たちは、机上の空論だと図上演習の予測を無視し作戦を慣行。
連合艦隊はシミュレーション通りの大損害を被り、大戦における主導権を失う。

戦争の基本は兵站と戦略だという某ココア提督の意見に異論はないけど、
事前の戦術シミュレーションの結果を軽視するのは論外だ。

図上演習で負けたと言う結論を嫌がって、
勝てるようデータやシステムを操作するようになれば本末転倒どころではない。
最初から「結論ありき」で物事を進めるようになったら組織はおしまいだ。

勝ち負けという結果には理由(過程)があるのに、
そこを論理的に詰めないで、机上の空論だとか感情的に排除しようとするアホがいる。
ついでにプロセスを軽視して、結果だけ求めるようになるバカも出てくるから頭が痛い。

宇宙船が星域間を移動する時代に、
認知バイアスによって間違いを犯す人間の脳内シミュレーション(妄想)よりも、
人工知能を活用した戦術シミュレーションの方が精度が高いのは明らかだ。

個人的には第二次世界大戦後には頭脳戦艦の時代が来ると思ってる。
擬似人工知能を搭載した頭脳戦艦「夕張」の開発は今のところ後回しにしているが、
平賀博士に性能の試算だけはしてもらったいる。
ぶっちゃけ凡百の提督が指揮するより、人工知能が指揮した方が統計的な勝率は高い。

「兵は詭道なりと『孫子』にあるけど、東郷長官の恐ろしさは心理戦にあるよ」

「詭道とは……人を欺くことですか?」

「そう。戦術レベルでは、敵や味方の心理を読むことで、
 状況に相応しい戦術プログラム群を用意する。
 そんなことができる戦術家は東郷長官くらいだ。

 そして戦略レベルでも小が大に勝つには、敵の意表をつくしかない。
 
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