MR編
百五十一話 スイッチ!!
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…でも、悪い人じゃないのよ、でしょ?」
「当たり前だお前。世の中に俺程の善人はそうはいねぇぞ?」
ニヤリとわざと怪しく笑うリョウにクスリとユウキが吹き出すのを聞きながら、アスナはため息をつく
「……こういう所あるけど、気にしないでね?人をからかうのが好きなだけだから」
「うん!わかった!」
「失敬な奴だなぁ……」
「あはは……あのね?ユウキ」
腕組みをするリョウの隣から、サチが進み出てユウキに目線を合わせる、そこには、絶対の信頼と自信の色が見て取れた。
「リョウは、こんな風に言うけど、理由も言わずに人を嫌ったりはしないし、ユウキともきっと仲良くしたいと思ってると思うから……だから、仲良くしてあげてね?」
「あのなぁ……俺のお袋かよお前は……とはいえまぁ、そう言う訳だ。よろしくしてくれると助かるぜ、嬢ちゃん」
「……!うんっ!」
辟易賭したような声でそう言いながらも、しかしリョウは特に訂正も悪態も口にはせずに、少しぶっきらぼうにそう口にする。そんな様子にユウキは大きくうなづいて、それまで迷うように上下に動かしていた右手を、ようやく大きく前に差し出した。リョウがそれを握り返そうとする……と……
「あ、でも、一個絶対言わなくちゃ、って思ってたんだよリョウさん」
「あ?なんだ嬢ちゃん」
「それ!その嬢ちゃんっていうの!いっつもそう呼んで僕の事名前で呼んでくれないから、ボク嫌われてるのかなって思っちゃったんだ、だから、ボクの事は「お嬢ちゃん」じゃなくて、ユウキって呼んでほしいなって!」
「あぁ……」
成程、そう言えばこれまで、たしか一度も彼女の事を名前で呼んでいなかったなと考えて、成程、それでは確かに意図的に名前を呼ぶのを避けていると勘違いされても仕方ないかと思い当たる。そこに、思い出したようにアスナも口をはさんできた。
「そうだよ、それ私も前から言いたかったのリョウ、女の子の事、あんまり「嬢ちゃん」って呼ぶのやめた方が良いとおもうよ?子供扱いされているみたいに聞こえるんだもの」
「ん?まぁ、実際年下だろ?」
「一つしか違わないじゃない!それにリョウ、正直その呼び方、おじさん臭いよ?」
「…………ほっとけ」
珍しく苦虫を噛み潰したような顔をしたリョウに、してやったりと言った表情でアスナはユウキ、サチと顔を見合わせて笑う。一方のリョウはと言えば、一度大きくため息をつくと、今度こそ、ユウキの手を握って軽く振る。
「わぁったよ、んじゃ、これからもよろしく頼むぜ、“ユウキ”」
「うん、リョウ!よろしくね!!」
しっかりと結ばれた手と手を見て、一連の物事にようやくの区切りが付いたことを、サチとアスナは視線を交わして喜び合うのだった。
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