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SAO─戦士達の物語
MR編
百五十一話 スイッチ!!
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なった顔面に向けて、高威力の固定弾道型(フィクスバリスティック)を中心とする魔法が、支援砲撃のように弾着し、さらに巨体が後退した。ゲージが切れ目へと到達し、威嚇するように甲高い音で蟹が鳴く。

「ッ、パターン変わるぞ!前衛少しずつ後退しろ、気ィ抜くな!!」
「遊撃隊!いったん後退して様子を見る!距離を取って回避優先!」
「前衛隊の回復をテンポアップして!アリシャさんとサチは状況に応じて支援を!」
即座に、各所でリーダーからの指示が飛ぶ、と同時にウンスイが動く。巨大な蟹は背負った寺を頻りに振り回すと、大きく背中側を周囲に立つ彼らに向けて薙ぐように振り払った。しかし寺が薙ぎ払う範囲からは、既に全員が退避している、渾身の薙ぎ払いは虚しく空を切る……筈だった。

「うぉぁっ!?」
「危ないっ!」
「ひゃぁ!?」
振り払った寺の一部であろう木材やら瓦やら、果ては仏壇や鐘まで、あらゆるガラクタが次から次へとメンバーの方へランダムに飛んでくる。大きいものはまるでゴムか何かで出来ているのかと言いたくなるような勢いでバウンドしつつ、速度はさほどでもないが、小さい瓦などは野球ボール並みの剛速球だ。ランダムに発射される瓦礫の弾丸に、メンバーは大混乱に……“陥らなかった”。

「タンク隊!盾持ちは動きの鈍い奴を優先して庇え!」
「了解よ!」
「う、ウッス!」
「おっしゃぁ!」
エギルの指示で、ジュン、テッチ、リズが遊撃隊の前に出る。のこったノリとリョウ、アイリはと言うと……

「ほっ、よっとぉ!」
「ノリお前よく動くなぁ」
昆を起点に軽々と攻撃を回避するノリに、感心したようにリョウが声を掛ける、すると彼女は苦笑しつつ別の所を指さして言った。

「なぁに、あの子やアンタらにはかなわないさね」
「あぁ、あれなぁ」
「えいっ!っと、せいやぁッ!!」
吹き飛んでくる瓦礫を、片っ端から叩き切って防ぐアイリを見ながら、リョウが苦笑する。彼女はGGOにおいて、キリト以外の唯一の「銃弾切り」の成功者なのである。これくらいの瓦礫程度であれば、多少動きの鈍る太刀を使っていても防ぐのは容易いだろう。かくいうリョウはと言うと……

「まぁ俺のはスキルだしなぁ」

薙刀 防御技 護輪旋《ごりんせん》

両の前で振り回される深い緑色のライトエフェクトを纏う斬馬刀が、着弾するガラクタを次から次へと跳ね返して見せる。武器の重量によってスキルの破られにくさが変わるこのスキルだが、リョウの筋力値に寄ってかなり重量の在る武器を扱っていることもあって、中々に堅固な防御能力を発揮している。

「正直どっちもどっちだと思うがねぇ、よっと!」
「お前さんが言うかそれ」
その曲芸のような避け方も大概まねできないだろうと苦笑しながら、リョウはさらに飛んできた仏像
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