MR編
百五十一話 スイッチ!!
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第28層フロアボス、《Unsui the shield general》は、その見た目の通り、非常に高い防御能力を持つボスモンスターだった。攻撃を中心に、動作の一つ一つは予備動作もわかりやすく読みやすいのだが、とにかくどのタイミングで打ち込んでも下手な打ち込みではびくともしない。と言うより、いともたやすく剣を跳ね返すのだ。その分かり易い例が、また一つ起ころうとしてた。
SSのエフェクトが瞬き、加速した剣が空を切る音に続いて……ガァン!と鉄棒を叩くような盛大な音が、周囲に響き渡る。
「硬ったい!?」
ビリビリと手に伝わる振動につんのめるように後退しながら、リーファが涙目になりながら怒鳴った、
「何あれ!?鉄の壁殴ってる感触なんですけど……!」
「まぁ、高く売れる素材にゃなりそうなんだが、なラァッ!」
両手斧 重二連撃技 《エクスプロード・カタパルト》
大きく隙が出来たリーファをカバーするように、エギルが押し返すように振るわれた巨大な盾状の鋏を弾き上げる。
「スイッチ!!」
硬直から回復したリーファが後退するのと入れ替わるように、レコンが盾の内側に在る顔面部分を狙って飛び込んできた、が……
「ッ、気を付けろ!」
「ハイっ!」
盾となる鋏の引き戻しが予想以上に早いのを見て、エギルが自分の脇を抜けようとしたレコンに警告を発すると同時、抜けるのが不可能だと判断したレコンが数本の投げナイフを投擲する。ナイフは盾の向こう側へと刺さったようだったが、HPを示すバーの減りは微々たるものだ。
後退するレコンとリーファを尚も庇いつつ、褐色の大男は在る筈の無い額の汗が流れるのを感じた。
「確かにかてぇな……!」
すると、逆サイドで今度は高い声が上がる。
「いっくよぉ!!」
飛び込んだ小さな身体が、空中へと跳ね上がり、軽く右に向けて引き絞られる。
「でぇぇぇぃ!!!」
カタナ 重範囲 ソードスキル 《旋車》
薄緑色のライトエフェクトを纏って、空気を切り裂く音と共に野太刀が鋭く振われた。ただの一撃ではあったが、樹の幹のように太い蟹の脚の一本の関節部に、浅い切り傷が付くのを確認して、アイリは姿勢を低くしながら砂埃を上げて着地する。
「(切れた!けど、かったぁ……!)クラインさん!スイッチ!」
「おっしゃあ!」
即座に飛び込んだクラインの刀が、猛火と火の粉を振り撒きながら同じく関節部を狙って振りかざされる。
「オォラァッ!!」
カタナ 八連撃技 《紅蓮煌焔》
切り裂くたびに傷口が爆発を起こし、焔が踊り狂う中、朱色の侍が高速の八連撃を見舞う。ボスのHPが明らかに多く削れ、その巨体が一瞬硬直した、が……
「っ、クラインさん!」
盾の爪の向こうから、小さな蟹
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