3. あなたのためにがんばりたくて
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海棲艦さんたち……たくさんの人たちがいたるところで見受けられた。屋台なんかも出てるみたいだ。やきそばのソースが焦げたいい匂いが、僕の鼻に漂ってきた。
そういえば、鎮守府の稽古場なんて行ったことないな……どうしよう。場所が分からない……。案内板みたいなものはないかなと思い、周囲をキョロキョロと見回した時だった。
「……ん?」
「……」
……いつの間にか僕の足元で、僕の足の膝ぐらいまでの背しかない、魚のサメみたいな顔をした深海棲艦さんが立ち尽くしていて、僕のことをじっと見ていた。僕は詳しくないからよくわからないけど、確かこの子は、PT子鬼とかいう子だったような……よく見たら眼帯をしている。ファッションでつけるタイプのものみたいだから、怪我をしているわけではないようだ。
「えーと……」
「……」
「こんにちは。僕は普賢院智久っていいます」
「コワイカー」
とりあえず目が合ってるし、この小さい友達に、しゃがんで挨拶をしてみる。するとその子は、『コワイカー』と言いながら両手を上げてバンザイしてくれた。よかった。顔は少々キモいけど、悪い子ではないみたいだ。キモいけど。うん。キモいけど。
「ちょっと聞きたいんですけど、稽古場の場所はわかりますか?」
「コワイカ……」
うーん……この子はひょっとしたら、『コワイカ』としか話せなかったりするのかなぁ……だとしたら、案内してもらうのが一番いい気がする。
「もしわかるなら、案内してもらっていいですか?」
「コワイカっ!」
僕の提案を飲んでくれたらしい彼は(彼女か?)、元気よくバンザイをしたあと、僕の肩にぴょんと飛び乗り、ちょこんと座った。うん。この子がほんとに稽古場の場所を知ってるかどうかはわからないけれど、とりあえず仲良くはなれたみたい。
「コワイカー」
「あっちですか?」
僕の肩の上で、ちっちゃい手でまっすぐ前を指差す彼に従い、僕は稽古場を目指す。途中、今度はこのPT子鬼さんよりもさらにちっちゃい子に出会った。その子は、昔の戦闘機のパイロットみたいな格好をした子で、PT子鬼さんよりも人間らしい、かわいらしい背格好。この子、話に聞く妖精さんかな?
「やあこんにちは」
「コワイカー!」
この子たちは友達だったらしく、僕の方に乗ってバンザイするPT子鬼さんの姿を見るなり、僕の身体をよじ登って、僕の頭の上に飛び乗った。うーん……乗ってくるのは構わないんだけど、一言断りが欲しかったかなぁ……まぁいいか。この子も子鬼さんと一緒で、しゃべれないのかもしれないし。
「あなたも子鬼さんと一緒に案内してくれるんですか? ありがとう」
「コワイカー」
不思議な友達が二人も出来たことはとてもうれしいけれど、今はそれよりも稽古場だ
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