3. あなたのためにがんばりたくて
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店舗対抗剣術大会に、鳳翔さんの食堂の代表として出場することになった僕は、当日までチェロの練習時間を半分にし、その分、剣道部で稽古をさせてもらった。
「おい普賢院! お前、あの清掃員とやるつもりか!?」
「そうだけど……?」
「ならば我々剣道部、お前への助力はおしまんッ!!」
「へ?」
「あの清掃員に飲まされた煮え湯……我々剣道部員全員がいともたやすく沈められた、あの日の屈辱は忘れん……ッ!!」
とこんな具合で、剣道部員全員が、僕の稽古にやけに協力的だったのが印象的だ。そんなにくやしかったのか……僕なんかは現役時代、負けても『あら負けた』以上の感想なんてなかったけれど。
「だが今回の試合は負けられんから稽古に来ているのだろう!?」
「まぁ、そうだけど……」
「つまり、負けられぬ戦いということだろう!?」
負けられないというよりは、鳳翔さんの前で無様な姿を晒したくないから……なんだけどね。そんなこと言ったら、なんだか剣道部員のみんなに怒られそうだ……。
そんなわけで、剣道部全面協力の元、僕は随分と久々に竹刀を握った。おかげさまで、全盛期の半分ぐらいの腕は取り戻せたのではないだろうか……それでも弱いんだけど。からっきしだけど。
……ぁあそうそう。大会前日、練習室に向かう途中、清掃中のロドニーさんが僕の練習室到着を待ち構えていて……。
「貴公ッ! ついに明日、決着の時だな!!」
「はぁ……」
「明日、東海道鎮守府の稽古場で待っているぞ!!」
と啖呵をきられ、軍手を投げつけられた。これはあとで知ったことなのだが、貴族同士では、この『相手に手袋をなげつける』という行為は、相手への決闘の申し込みの意味合いがあるらしい。英国人のロドニーさんらしい僕への宣戦布告なのだが……そもそもなんでそんなに僕にこだわる? ……ああそういやバトルジャンキーだって言ってたっけ。
そして運動会当日。久々に防具袋をかつぎ竹刀を持って、僕は東海道鎮守府の門をくぐった。
「……普賢院智久さんですか?」
門の前にいた守衛さんが、僕の姿を見るなり声をかける。少々強面の人のため、小心者の僕の心に、少し緊張が走った。
「はい」
「……鳳翔さんからお話は聞いています。剣術大会、頑張って下さい」
「……ありがとうございますっ」
ほっ……別に不審人物として止められたわけではなく、身分の確認と激励のためだったか……。守衛さんは強面のまま、僕に向かってサムズアップをしてくれた。
「キラーン!」
「うっ……」
「どうされました?」
ニッと笑う守衛さんの白い歯が、お日様の光を反射して眩しかった……。
鎮守府の敷地はとても賑やかだ。ところどころに万国旗が飾られて、艦娘さんたちや深
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