逆鱗、そして後始末
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始める大淀。
「成る程な、流石は腹黒眼鏡」
「褒められた気はしませんが、誉め言葉として受け取っておきます」
釈然としない、といった様子の大淀を放ったらかしにして、提督は潜水艦達に拘束されたままのフロッグマン部隊に歩み寄り、ニヤリと笑ってこう告げた。
「……さて、不法侵入者の諸君。取引といこうじゃないか」
鎮守府での騒動が発生してから数時間後、鎮守府の正面玄関にはパトカーが複数台止まり、赤と青のパトランプをピカピカさせていた。応接室には鑑識らしき人間と複数の刑事が入り乱れ、さながら刑事ドラマの殺人事件が起きた現場のような見た目になっていた。……まぁ、人が一人死んだのは事実でありドラマっぽいとか言っている時点でお門違いも甚だしいのだが。
「……で?最初からきちんと説明して頂けますかねぇ?」
「だぁから、さっきから言ってんだろ?大使館の職員を名乗ってたそこの仏さんと、ウチで預かってるアメリカ軍の軍人さんの返還交渉してる所に顔隠した武装集団が襲撃してきたんだって」
その部屋の片隅で、壮年の刑事らしき男に提督が事情聴取を受けていた。気安い口を互いに利いているが、実はこの2人初対面ではない。ブルネイの警察から頼まれて、格闘術の出稽古に行って何度か顔を合わせている。なのでこの壮年の刑事も、提督が言っている事の大半が嘘であると雰囲気で察してはいるのだ。
「海軍の鎮守府にしちゃあ随分とお粗末な警備だったんだな?えぇ?」
そう言って刑事は部屋の惨状を顎でしゃくって示す。調度品は粉々にされ、壁には無数の弾痕。まるで何者かが機関銃をぶっ放したかのような有り様だ。事実、話に整合性を持たせる為に提督が偽装工作としてやった事なのだが。
「そりゃ仕方ねぇさ。アメリカ軍からの預かりの人員と、それを引き取りに来た大使館職員がいたんだぜ?そっちに警備割かなきゃいかんだろ、とっつぁん」
大淀が描いた筋書きはこうだ。侵入者であるフロッグマン部隊を不問にする代わり、怪我をしているだけで命に別状はないガタイのいい兄ちゃんを引き取らせ、鎮守府から逃がす。そして提督が応接室に向かって銃を乱射してズタボロにして偽装工作。その責任を逃がしたフロッグマン部隊に全て被せたのだ。
「追跡は?当然したんだろうな」
「あ〜……それなんだがよぉ。どうにも奴さん等手馴れててな、下手につつくと国際問題になりかねんからわざと逃がした」
後は察してくれ、と眼で語る提督。刑事もその視線を受けて、面倒臭そうに頭をガリガリと掻き毟る。
「解った解った、上にはそう報告しとくよ」
「へへ、恩に着るぜ」
「よせやい、俺だってもうじき定年だ。余計な残業増やして、孫と遊ぶ時間減らされちゃ敵わん」
お互いにこの
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