逆鱗、そして後始末
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の連中から事情聴取やら何やらはこっちで勝手にやらせてもらうぜ?」
「ご自由に。しかし我々は解放した方が今後の身のためだとご忠告申し上げる」
「あん?」
怪訝な顔を浮かべた提督に、ニヤリと下卑た笑みを浮かべてみせた眼鏡男。
「このまま不当に私達を拘束し続ければ、国際問題だとアメリカ政府はこの鎮守府に軍を派遣するだろう。私はこう見えてもそれなりの立場の人間でね。そうなれば我が国では人為らざる人として認識されている艦娘など、容赦なく殺されるだろうさ」
眼鏡男がそう言ってのけた瞬間、部屋の温度が体感で数℃下がったのではないか、と勘違いするだけの悪寒が部屋の中に居た全員……否、その発生源となった1人を除いて全員に走った。その発生源となった提督の身体から発せられた殺気と怒気が、室内にいた全員に強烈な『死』をイメージさせたのだ。そして般若もかくや、といった具合の怒りの表情の提督は、
「……………あ?」
と短く音を発した瞬間、拳銃の引き金を弾いていた。その狙いは勿論、先程提督の逆鱗に触れた眼鏡男の眉間。その狙いは外れずに見事に眉間をぶち抜いて、後頭部から血と脳奬の入り雑じった紅い華を咲かせる。その1発で男の命は完全に絶たれたが、尚も引き金を弾き続ける提督。
「ふざけんじゃねぇぞゴラァ!ウチにアメリカ軍が攻め込んで、俺諸共皆殺しだぁ!?んな事してみろ、ウチは最期の1人になるまで徹底抗戦してやんよ!」
そう言って拳銃のマガジンが空になるまで、引き金を弾き続ける。既に事切れている身体に銃弾を撃ち込むのは死体蹴りにより酷い有り様になる行為であり、ただの八つ当たりである。
「そろそろ止めておけ、提督。皆が怯えているし、そもそも弾切れだ」
弾切れになってもなお引き金を弾き続ける提督を見かねて、武蔵が止めに入る。本当なら金剛が止めに入るのが一番いいのだろうが、金剛は今代理で提督業務をこなしている為に執務室だ。
「あ〜……悪い。取り乱した」
「いいさ、私達の為に怒ってくれたのだろう?理由はどうあれそれを嫌と言う奴はいないさ」
しかし、状況は最悪。鎮守府に来訪した客の内、眼鏡は蜂の巣だしガタイのいい兄ちゃんの方は右腕を破壊された痛みで泡を吹いて気絶中。破壊工作か何かをしようとしていたフロッグマン部隊は拘束されていて、007かイーサン・ハントかジェイソン・ボーン辺りが主役のスパイ物か、世界一ツイてないジョン・マクレーン刑事辺りが絡んだ映画の話なんじゃないかと目を疑いたくなりそうな状況である。
「この諸々の処理、どうすっかなぁ」
全く面倒な事になったと言わんばかりに、頭をボリボリ掻く提督。
「……提督、こういうのはいかがでしょう?」
何やら思い付いたのか、ボソボソと耳打ちを
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