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夕刻の横顔
第四章
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 そのスコールの中でだ。彼は言ったのである。激しい雨で色がその色に染まってしまったホーチミンの街を見ながらだ。こう言ったのである。
「ですから」
「そうですか。それでは」
「貴方は帰られてもいいですが」
「いえ」
 だが、だった。ここではだ。
 ガイドは彼の後ろで微笑んでだ。こう答えてきた。
「いえ」
「いえ。とは?」
「私はガイドですよ」
 これが彼の返答だった。
「こうした時は最後まで一緒にいますよ」
「いいのですか?雨はかなり強いですが」
「この雨もまたです」
「この街のいいところですか」
「この後一気に涼しくなります」
 にこりと笑ってだ。ガイドは述べた。
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