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とある科学の裏側世界(リバースワールド)
remember memory
ep.0002 remember memory 騎城&七草 前編
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れて俺は眠りにつく。
このパンは俺の明日の命を繋ぐ糧だ。

翌朝。
ヌルっと起き上がる。
原因は鼻につく死臭のせいだ。
こんな劣悪な環境の中、少しでも眠りに付ければ幸運な方だろう。
焦点が定まり思考も働き出すと、俺は妙な感覚を感じて懐に手を入れる。
懐に入っていたパンを見ると3口ほどかじられていた。

「はぁ!?」

衝撃だった。
普通は取り出す時点で気付くと思った。
全く気付くことはなかった。
地面には申し訳程度に「ごめんね」と書かれていた。

仕方なくその日はかじられた残りのパンを食べて、あとは何もせずにひたすら眠った。
翌朝になると俺の懐に妙な感覚がある。
探るとパンが1つ入っていた。
俺は初め、理解が追い付かなかった。
だが地面には「お返し」と書かれていた。

俺は何を思ったのか、そのパンを食べると、地面に1つのメッセージを残した。
「ありがとう」
その次の日も目覚めると懐にパンが入れられていた。
俺はそのパンを食べて、今日は食べ物を奪いに行った。
その日の収穫は赤くてちょうど食べ頃だと思われるリンゴ2つだった。
俺は1つを食べて、もう1つは敢えて懐に入れた。
そして地面に「お返し」とだけ書いてその日は眠った。

翌朝になると、懐にはリンゴの代わりにパンがあった。
そして地面に「ありがとう」と書かれていた。
その時、俺は初めてこの何も知らない誰かとコミュニケーションをとったと実感した。











ある日のこと。
近くで物音がする。
ただの物音じゃない。
金属と金属がぶつかって弾き合う音。
近くで誰かが戦っているのか。
すると、頭上から人が一人落ちてきた。
随分鈍い音がして、多分首の骨辺りもやったのだろう。
落ちてきたソレを死体だと理解するのは案外早かった。

よく見るとソレにはナイフが2本突き立てられていた。
その刀身はまるで命を吸い取って、本来の鋭さを保っているように見える。
そのナイフからユラっと緑がかった瘴気が見える。
いや、この場合オーラと言ったほうがいいか。

不意にそのナイフが欲しくなった。
グサッと引き抜くと何だか妙な気分に陥る。
初めての得物に高揚感を隠せないからなのか、そんなことはどうでも良く、ただ夢中になって転がっている肉塊どもを解体していった。
今思えば、この時の俺の顔は正真正銘、獣のそれだっただろう。
俺は疲れきって眠りについた。

翌朝。
何だか今日の眠りはやけに深かったように感じた。
疲れ切って寝たからだろうか、いやそうじゃない。
本当は分かっていた。
ストレスを発散したからだ。
刃を突き立てる感覚があれほどまでに快感だったとは。
そう思った時、既に俺の中に巣食う鬼が今ま
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