2. あなたとご飯が食べたくて
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「胸が踊ります! えーっとですね……ちょっと待って下さい……」
『鳳翔さんのお弁当』その魅惑の単語が僕の心にじんわりと染み込んでいく。そしてそれは、僕の意識外のところで、僕の口を操り始めた。
「あの、鳳翔さん」
「はい?」
「……すみません。さっきの、訂正します。鳳翔さんのお力に、ならせて下さい」
「へ……?」
鳳翔さんがぽかんとした表情を僕に向けた。多分、僕も同じ表情を浮かべてる。僕が口走った言葉に、僕自身、驚いてるんだから。
「つまり……」
「はぁ……」
頭が少しだけ冷静になる。僕の冷静な頭は『それ以上言うなっ』てブレーキをかけるけど、一度言ってしまった言葉は、もう取り返しがつかない。それに、僕の無意識が、僕の口を操り続ける。僕の意識は、それを止めることができなかった。
「食堂代表で、剣術大会に出ます」
言ってしまった……もう後戻りは出来ないぞ……どうするんだこれ……
「ほんとですか!?」
ほら……鳳翔さん、満面の笑顔になっちゃったじゃないか……もう引き返せない……
「ありがとうございます! ありがとうございます智久さん!!」
ほんとに、花開いたようにパアッと明るい表情を見せた鳳翔さんは、僕の右手を両手で取って、力強くギュッと握ってくれた。毎日食堂での仕事を頑張っている鳳翔さんの手は、けっしてすべすべではないけれど……。
「い、いやあのっ! でも僕弱いですよ!?」
「強い弱いではありません! 出場できることが……出場してくれることがうれしいんですっ!!」
「き、期待しないでくださいよ!?」
「結果なんていいんですっ! ありがとう智久さん! ありがとう!!」
僕の手を包み込む鳳翔さんの手は、さらさらと心地よく、あたたかい。
そして、鳳翔さんの手の心地よさに負けないぐらいに、鳳翔さんの嬉しそうな微笑みはあたたかくて、僕の胸は心地いいぬくもりでいっぱいになった。。
「ちなみにロドニーさんは出るんですか? 他の店舗の方は強いんですか?」
フと湧いた疑問。もし彼女が出る場合は、ただでさえ低い優勝の可能性が、さらにゼロに近くなってしまうのだが……僕は、今隣で必死にお弁当のリクエストを思案している赤城さんに問いただしてみることにする。いわゆる開戦前の情報収集というやつだ。
「出ますよ。普賢院さんが出るとわかれば、彼女も燃えるでしょうね」
「出るんですね……ずーん……」
「他には……『大淀パソコンスクール』は、艦娘ではない方が出場されるんだとか。なんでも、剣に相当な自信がある方らしいです。いろんな戦士との野良試合を経験されている方とか」
「うう……優勝が遠のきます……」
「『Pizza集積地』からは、元深海棲艦の姫クラスの方が出場
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