2. あなたとご飯が食べたくて
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りんごをまるごと一個、握りつぶしていたらしい。明日会うのが恐ろしい……。
「彼女はバトルジャンキーなんです。許してあげて下さい」
「はぁ……」
と、赤城さんはフォローになってるのかいまいちよく分からないフォローを入れる。そういえばロドニーさんは元艦娘って話だし、戦い大好きな人ってのも、きっといるんだろう。なんだか少年マンガみたいな人だな。ちっこいのに。
そして恐ろしいことに、赤城さんはお櫃のご飯をまるまる平らげようとしていた。
「でもそんな彼女でも、鳳翔さんには勝てないですけどね」
「ちょっと赤城……やめなさい……」
ぁあそういえば、鳳翔さんも元艦娘だもんな……てことは、かつては鳳翔さんも戦ってたってことだよね。こんなに朗らかで優しそうな彼女からは想像できないけれど。
「それはそうと鳳翔さん、今度の店舗対抗運動会ですが……」
「ああ、うちは出場できる子が少ないんですよね……」
幾分みんなの食事が進んだところで、鳳翔さんと赤城さんの間で、運動会の話が始まった。僕は何のことかよく分からないけれど、二人の話につい聞き入ってしまう。
そんな僕の様子に気付いたのか、鳳翔さんが僕の方を見た。
「ぁあ智久さん、わからない話をしてしまってすみません」
「ぁあ、いいんです! でも部外者の僕が聞いても良い話なんですか?」
「それは大丈夫です。機密ってわけでもないですし」
お櫃三杯目に突入しはじめた赤城さんの言によると……今度の日曜日、系列店舗対抗の運動会があるそうな。その系列店舗ってのが、鳳翔さんが所属する『東海道鎮守府食堂』、ロドニーさんと赤城さんの『ビッグセブンクリーン・一航戦』、そしてピザ屋さんの『Pizza集積地』、パソコン教室の『大淀パソコンスクール』だそうで。なんだかバラエティに富んだ店舗展開をしてるんだなぁ……。
ところが、ここで問題がひとつ。他の店舗に比べ、鳳翔さんの『東海道鎮守府食堂』は運動会に出られる人員がとても少ないらしい。
特に問題なのが、店舗対抗剣術トーナメントだそうで。この食堂には、そのトーナメントに出られる、剣道経験者がいないそうだ。
「だから頭を抱えてるんです」
「そうなんですか……」
「私も弓には自信があるんですが……剣となると、全然経験ないですし……」
僕の向かいに座る鳳翔さんが、そう言って表情を曇らせた。お味噌汁をすすろうと少し俯いたのだが、それが僕には、酷く落ち込んでいるように見えた。
……僕はここで、ある葛藤を抱えた。僕は剣道の経験がある。だから、もし鳳翔さんがそれを許可してくれるのであれば、僕が食堂代表でその大会に出場することも可能だ。
だけど僕の心が、それにブレーキをかける。僕は、剣道の経験があるという
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