2. あなたとご飯が食べたくて
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ね?」
「は、はいッ! 普賢院智久でしゅっ!」
「中々聞かない名字ですが……どんな字を書くんですか?」
「は、はいっ! 普通の『普』に賢者の『賢』、病院の『院』ですっ!!」
「へー……なんだかとても由緒正しい家柄の方みたいな名字ですね……」
「そ、そんな……僕は普通に一般人……ですよ!?」
「ぷぷっ……そうなんですか?」
僕の過剰な反応がおかしいのか、少し口を抑えてぷぷぷと笑いながら、僕と会話してくれる鳳翔さん。……でもちょっと待て。なんで鳳翔さんは僕の名前を知ってるんだ? 幾分冷静になってきた僕の頭が、そんな他愛無い疑問を抱えた。
「でも鳳翔さん、なんで僕の名前をご存知なんですか?」
「ああ、それは……」
鳳翔さんが何かを言いかけたその時……今度は、ロドニーさんと同じ清掃会社の制服を着た、長い黒髪の女性がやってきた。その人は右手で夕食が乗ったお盆を持ち、左手で大きなお櫃を抱え、とてもキレイな姿勢で、僕と鳳翔さんの前で笑顔で立っている。
「鳳翔さん、相席してよろしいですか?」
「ああ赤城。……智久さん、よろしいですか?」
「……」
……なんという天使の賛美歌……ああ……大好きな人の声で聞く『智久さん』という言葉が、こんなにも美しい音色だとは……
「智久さん?」
「……おわッ!? すみません!! どうぞどうぞ!!」
危ない……まさか鳳翔さんの声に本気で感動していたなんてことは口に出せず……僕の言葉を受けたその女性……赤城さんは、『ありがとうございます』とお礼を口にした後、おぼんをテーブルに置き、お櫃を向かいに置いて、鳳翔さんの隣りに座る。そして座るなり……
「あなたが普賢院智久さんですか」
と言いながら、僕の顔を見た。この人も僕の名前を知っている? なんでだ?
「あなたも僕の名前をご存知なんですか?」
「ええ。仕事仲間と共に、いつもあなたの大学に行ってるんですよ。清掃員の赤城です」
赤城さんはそういい、手を合わせて『いただきます』をすると、実に美味しそうにお味噌汁をすすり、ご飯をぱくぱくと口に運び始めた。
そんな美味しそうにごほんを頬張る赤城さんの制服をよく見る。ロドニーさんと同じ制服ということは、この人とロドニーさんは仕事仲間ということになる。僕の名前を知っているのは、ロドニーさんがこの人に僕の名前を教えたからか。
「てことは、赤城さんの仕事仲間って、ロドニーさんなんですか?」
「ええ。いつもあなたの話を聞かせてくれます。今日も『普賢院智久めッ!! またも私の挑戦を受けないのかッ!!』てぷんすかしながら言ってました」
「うへぇ〜……」
ロドニーさんは僕の仕打ちに毎度怒り心頭のようだ。今日も大学の清掃の仕事のあと、怒りのあまり、おやつの
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