第二章
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「今の私は」
「成程。ではです」
「それでは?」
「日本で見つからないのなら他の国に行かれてはどうでしょうか」
「日本以外の国ですか」
「そうです。そこにないのなら他の場所に行く」
浜崎は自分の向かい側に座り真剣な顔で悩んでいる谷崎に話した。
「そうされてはどうでしょうか」
「他の国ですか」
「はい。ただ私にはどの国に行くべきかはわかりませんが」
「しかし他の国で見つければだというのですね」
「そうです。そう思うのですが」
「そうですね。ではとりあえず思いついた国に行ってみます」
そうしてみるとだ。谷崎も言った。そうしてだ。
彼は浜崎の言葉を受けて他の国に旅に出て絵のヒントを探すことにした。その彼が行こうと思った国はというと。この国だった。
「ベトナムですか」
「何故あの国にしたかといいますと」
「特に思うことがあってのことではないのですね」
「何となくです」
インスピレーションの赴くままにだというのだ。
「そこにしようと思いました」
「そうですか。しかしそれがいいと思います」
空港で見送りに来た浜崎にだ。谷崎は話していく。
「芸術にはそうしたインスピレーションこそが大事ですから」
「だからですね」
「はい、あの国に行かれていいと思います」
「それでは」
「ベトナムで手に入れてきて下さい」
そのだ。芸術のヒントとなるものをだというのだ。
「楽しみに待っています」
「はい、それでは」
こう応えてだ。そのうえでだ。
谷崎はベトナムに向かった。その国にだ。着いた場所はベトナムのホーチミンだった。そこに赴き街を見回す。そのうえでこう現地で雇ったガイドに話した。
「噂以上ですね」
「いい街ですか」
「はい、とてもいい街ですね」
こうだ。街を見回りながら彼は笑顔で言った。二人で街を歩いている。
そうしながらだ。彼は言うのだった。
「賑やかで」
「そうでしょう。ここはベトナムで一番賑やかな町ですよ」
「ベトナムの経済の中心ですね」
「そうです。それ故にですよ」
ガイドは少し痩せた目の大きな若い男だ。美男子と言っていいが谷崎の趣味ではない。谷崎の男の趣味はマッチョなのだ。優男ではないのだ。
だから彼には特に感情を抱くことなくだ。街を見回っていた。
そしてあらゆるものを見た。己の芸術のインスピレーションとする為に。とにかく街のあらゆる場所に赴きあらゆるものを見た。特に少女をだ。
それこそホーチミンのあらゆる少女を見た。彼があまりにも少女達ばかりを見るのでだ。
ガイドは苦笑いになってだ。こう彼に言った。
「あの、女の子でしたらいい店がありますよ」
「店?店とい
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