EX回:第39話(改2)<艦娘の孤独>
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。それまでは、ずっと一人っ子だと思っていた。
もちろん姉弟関係など私には分からない話だ。
だが両親にとって何か思うところはあったのだろう。
境港で初めて艦娘と出会ったときの母親は、ごく自然に接していた。その姿に私は何となく違和感を覚えたものだ。
もっとも私の両親は二人とも軍隊関係だった。従って軍人である艦娘たちとも違和感が無いのかも知れない。
そして私が彼女たちと縁を持ったのも、何か因縁でもあるのだろうか?
私は改めて機内を見渡した。
「ぽいぃ」
「ひえぇ」
鎮守府にいる限り艦娘は決して孤独じゃない。家族以上の仲間たち……そうあるべきだ。そう思えば、夕立や比叡だって可愛らしく思えてくる。(もちろん変な意味ではない)
そう思いながら私は何気なく日向の方を振り返ってみた。彼女は頬杖をついて、無言で窓の外を眺めている。
時おり光る雷光に照らされ青白く光る横顔。その陰影は、まるで彼女の孤高さを象徴しているようだ。
日向は鎮守府の中でも、あまり感情を見せない。
武人だから? それとも性格か。
(お前は、いつもそうだな)
お互いが単なる一兵卒で横並びだった頃には、あまり分からなかった彼女の感情。それが私が美保に着任してからは実に、いろいろなことがあったように感じるのだ。
女性と付き合った経験が無い私にとっては普通の女性ですら謎めいている。それでも何となく艦娘が限りなく人間に近い感情を持つ存在であることは理解した。
日向も然り。今回出会った五月雨もそうだ。
一見、威圧感するら覚える武蔵様だって実は、とても繊細な印象を受けた。島風もそうだが艦娘は大概、孤独な印象を受ける。外面だけでなく内面でも戦っているのだろうか。
大海原の戦場だけではない。艦娘という存在自体が孤独なのか。
だから妙に、はしゃいでみたり、わざとバカなことをするのか。
「ぽ・ぽ・ぽぃ」
あの夕立も……それは孤独の裏返しか?
ふと、武蔵様の言葉を思い出した。
『フフフ……お前以上に私は馬鹿だぞ』
『美保の司令殿……彼女たち艦娘の気持ちも案じてやれ。彼女らは本当に大海原で単身で闘っているのだ。その心細さは、いかばかりだろうか?』
『……だが私も今回、島風が居ただけで、どれだけ支えられたか?』
『艦娘とは、繊細な者たちなのだ』
それを治めつつ戦い、かつ鎮守府の運営も行っていくべき提督業。それもまた簡単な事ではない。女性の感情も分からない私に果たして、このまま艦娘艦隊の司令なんて務まるのか?
……急に不安になってきた。
広瀬中佐を尊敬していると豪語したものの私自身いまだに部下のために尽くし切れていない。理想と現実は厳しい。
技術参謀に刃向かっ
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