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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邪願 2
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なって追い払おうとするが、振り回す腕は空を切るばかり。突然飛びかかってきた羽虫に仰天して手を振るうも空振りに終わる様に似ていたが、相手はただの羽虫ではなく鋭い鉤爪と牙をもった怪物だ。
 人が怪物に襲われる現実味のない光景。だが肉を裂く音と鼻をつく血臭が、目の前の惨事が現実のものだと、彩菜に否応なく認めさせる。

(お、おふだ。お札が……!)

 不思議な陰陽師BARでもらった尊勝仏頂陀羅尼の護符はあれからずっと身につけて持ち歩いている。

「お、急々如律令(オーダー)!」

 陰陽庁謹製。市販されている呪具の術式を発動させるコマンドワードはOrderで統一されている。
彩菜の言葉に反応し、呪符に込められた退魔の力が効果を発揮した。

「ギヒャーッ!?」

 まばゆい光が発せられ、妖虫老人の身体を破魔の焔が焼きつくす。

「あ、や……、や、やったの? やっつけたの? 川平さん!」

 妖虫老人の姿はない。血まみれの川平がたおれているのみだ。

「川平さんっ、川平さんっ、川平さん! ……どうしよう、人を呼ばないと……」

 耳元に口を近づけて声をかけるが反応がない。
 さすがに身体をゆすって安否を確認するような真似はしなかった。日本の安っぽい刑事ドラマなどでは負傷して意識を失った人の身体を強くゆすって声をかけるシーンがあるが、 そんなことをすれば出血がひどくなったりするだけだ。脳にダメージを負っていた場合は致命的な追い討ちになりかねない。
素人がけが人をむやみに動かしたりしてはいけないのだ。
 ケイタイを取り出して助けを呼ぼうとしたら、地面に落とした。手の震えが止まらない。

「ああ、もうっ」

 混乱と緊張で身体が動かない。なにかに追われて逃げようとするも、思うように身体が動かせない悪夢のなかにいるようだ。

「なにかありましたか?」

 若い女の声に振り向くと、二十歳前後と見られる男女のカップル――秋芳と京子がいた。

「すごい悲鳴が聞こえたもので、それに霊災の気配も。あたしたち陰陽塾のものです」
「怪物に、霊災に襲われたんです! なんとか追い払ったんですけど、川平さんがひどいけがで――」

 日頃の鍛練のたまものか、身体のほうは動かなくても舌はとどこおりなく動いた。彩菜は事情を説明し、助けを求める。

「たしかにもう妖気は感じられないな。そっちのけが人は――全身に切創と刺創。負傷か所と出血は多いが、内蔵や骨にまで達するような傷はない。これなら手持ちの治癒符で応急手当して、あとで念のため陰陽医に残存瘴気の確認・除去をしてもらえば大事なさそうだが……」

 治癒符には回復力を大幅に上昇させるほかにも止血や殺菌効果もあり、わずかな瘴気なら浄化できる。
 霊的災害は瘴気の塊であり
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