巻ノ百十五 異端の者達その十一
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「爺様の術は完璧だからな」
「幻術はか」
「そうだよ、凄過ぎてな」
それでというのだ。
「誰も見破れないさ、それにな」
「見破ってもじゃな」
「爺様に攻撃を当てるなんてな」
それこそというのだ。
「そうそういるか」
「ほっほっほ、お主達なら出来るやもな」
「その時はどっちも死ぬだろ」
十二神将同士が戦えばというのだ。
「それこそな」
「そうであったな」
「伊賀者は私闘は禁じているからな」
それは絶対のこととしてだ、服部が定めているのだ。
「しないさ」
「掟は掟じゃ」
「そういうことだ、さてここも随分変な奴等がいるが」
「何てことないよ」
妖花は笑ってだった、そのうえで。
その手に一輪の白い花を出した、その花を空に投げると花びら達が散り増えていき花吹雪となり。
その花が全て燃える炎の花びらとなりだった、周りにいる伴天連の者達を焼き尽くす、土蜘蛛は妖花のその術を見てこんなことを言った。
「姫さんの術は何時見ても奇麗でおっかねえな」
「姫じゃないよ」
妖花は自身の術で焼かれる伴天連の者達を見つつ微笑んで言った。
「私はね」
「じゃあ何だよ」
「何かな」
言ってもわかっていないという返事だった。
「実際のところ」
「おいおい、自分でわかってなくて言うのかよ」
「何かね」
「全く、何でそう抜けてるんだよ」
土蜘蛛は妖花に呆れて返した。
「普段は」
「だって私忍術は興味があるけれど」
それでもというのだ。
「他のことはね」
「興味ないっていうんだな」
「だからね」
笑って言うのだった。
「今だって」
「わかってなくてかよ」
「言ったんだ」
「やれやれだな、とにかくな」
「うん、ここはね」
「この伴天連の連中倒すか」
倒されても倒されても出て来る彼等をというのだ、屋敷から土蜘蛛の言う通り次々に出て来ている。
「そしてな」
「この連中の目を引き留めてね」
「半蔵様にお任せしようぞ」
幻翁も言ってきた。
「屋敷の中はね」
「そうだね、兄上ならね」
服部、彼ならとだ。妖花も言う。
「絶対に大丈夫だよ」
「うむ、あの方ならな」
「必ず証拠を掴んで」
そしてというのだ。
「帰られて来るよ」
「我等はそれまでここで戦う」
「そうしていこうね」
「ほっほっほ、では半蔵様をお待ちするまで」
幻翁はまた出て来た敵達を見つつ笑って述べた。
「存分に死合うか」
「ああ、楽しんでな」
土蜘蛛もその幻翁に応える。
「お待ちしような」
「さて、じゃあまたやるよ」
妖花はまた構えた、だが構えは先程とは違い。
両肩から炎の翼を出しその翼を羽ばたかせ無数の炎の羽根を矢の様に放ってそれで敵を焼く、そうして戦ってだった。
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