暁 〜小説投稿サイト〜
レインボークラウン
第四百九十三話

[8]前話 [2]次話
              第四百九十三話  東洋の吸血鬼
 博士は夜に自宅でもある研究室のプライベートルームの一つで飲みながらだった、隣でテレビゲームをしている小田切君に尋ねた。
「吸血鬼は知っておるか」
「ドラキュラ伯爵ですか?」
 小田切君はゲームの画面を見つつ博士に答えた。
「東欧には色々な種類がいるそうですね」
「そうじゃ、それでな」
「日本にもいるんですよね」
「何じゃ、知っておるか」
「ろくろ首の空を飛ぶのとかですよね」
 博士に言われる前に言った小田切君だった。
「あと横溝正史さんの小説でも」
「それも言おうと思っておったが」
「ろくろ首とですか」
「それは不知火検校じゃな」
 横溝正史の小説の吸血鬼はというのだ。
「タイトルは髑髏検校という」
「あの人らしいタイトルですね」
「それで最近じゃが」
「まさかと思いますけれど」
 小田切君はRPGをしている、そのゲームで丁度ヴァンパイアつまり吸血鬼と戦いつつ博士に応えた。
「ろくろ首か検校が出て来たんですか?」
「いや、来日してきそうなのじゃ」
「来日?」
「欧州からな」
「そういえばドラキュラ伯爵も」
 この小説から言う博士だった。
「ルーマニアからイギリスに行ってますね」
「それでルーマニアに戻ってな」
「船で移動してますね」
「そうしておった」
 ブラム=ストーカーの小説であるその吸血鬼ドラキュラの展開である。
「吸血鬼は知能が高く人の移動手段を普通に使える」
「というか元は人間ですし」
「それが出来るのじゃ、それでじゃ」
「吸血鬼が来日してくるんですか」
「そうなるやもな」
「それ大事ですよ」
 小田切君は博士に顔を向けて言った。
「洒落になってないですよ」
「わしに向かって来るなら相手をする」
「その吸血鬼と戦うんですね」
「そうする、その時は見ておいてくれ」
 自身と吸血鬼の闘いをというのだ。
「存分にな」
「お手伝いは」
「見ておいてくれればいい」
 博士は小田切君に笑って返した、そうしつつ酒を飲んでいく。今飲んでいるワインは深紅のワインだった。


第四百九十三話   完


                2017・10・29
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ