*不思議な夢世界
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それどころか饒舌なチェシャ猫が語る話はどれもこれもおもしろくって先の展開が気になって彼から視線が離せません。
時間なんて止まってしまって、このまま永遠に彼の話を聞いていたいと思うようになっていって。
おかしいですよね。わたしはみんなと群れるのが嫌で、独りになりたくてここまで逃げてきたはずなのに……。
チェシャ猫の話を聞いていると、嫌なこと全部忘れられるような気がして……。
まるで夢の世界にいるような気持ちなって……。
キーンコーンカーンコーン。
ですがわたしは知っています。現実はそう甘くないってことを。
「もう〜終わりですか〜。ここから面白くなるところでしたのに〜残念ですね〜」
そうですね。本当に残念です。またあの獣だらけの教室に戻らないといけないなんて……。
チェシャ猫は「このままサボってしまいましょうか」なんて冗談を言っていたけど、生真面目しか取り柄のないわたしが授業をサボるなんて……そんなことしてしまったら、わたしがこの世界に存在するための価値がなくなってしまいます……。
誘いは嬉しかったけど、丁重にお断りさせてもらいました。
「それでは〜。また明日」
明日なんてこなければいいのに……ぼそりと呟いた独り言。
笑顔で手を振るチェシャ猫と別れ、わたしは自分の教室へと重たい足を向けて歩き出します。
愉しかった夢の時間は終わりました。夢から覚めた勇者はまた魔王たちと地獄クラスで戦わないといけません。
嫌だと言ってもそれは変えられません。もう決定事項ですから。
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