*空想の世界
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う思いながら楽しそうに喋る彼らの僅かな隙間をくぐり抜けて窮屈な校舎から脱出!
……と、思ったけど。
やっぱり校舎も校内もそう変わらなかった。邪魔な獣が同級生から上級生に変わっただけでした。
……なんだつまらない。
不意に零れた呟き。
どこかに行きたい。でも自分の教室以外良く知らない。
勝手に動いているわたしの足はどこへ向かって歩いているの? わたしはどこへ行きたいの? わたしの行きたい場所? それは――
――ここではないどこか遠くへ。
ミーンミーン。
元気に鳴いている蝉さんたちの声が頭上高くから聞こえて来ます。
ここはどこだろう?
意味もなく、あてもなく、彷徨歩き続けていると古びた校舎に辿り着きました。
古い木の香りがする木造校舎。窓ガラスはひび割れていて、所々ガタがきてそうで緑色の苔こけもあちらこちらに生えています。
校舎脇に置かれている鉢植えには、多分紫陽花が植えてあったんだと思われる鉢植えが置いてあって、その傍に茶色いカピカピになっている蔦が絡みついた棒と、網がかけられていました。
緑のカーテンじゃなくて、茶色いカーテン? ……ぷっ、と笑いがこみ上げてきました。
ぐるっと校舎の周りを一周して見てみたけどここはもう使われていない、旧校舎と呼ばれているみたいです。
耳を澄ましてみても聞こえてくるのは、遠くの方で楽しそうに笑っている獣(生徒)たちの声、蝉時雨只それだけ。
手入れがされていなくて、放置されている感があって、立入禁止と書かれた看板が落ちている、ボロボロの旧校舎。
やっと見つけたかもしれません。わたしの居場所。
躊躇ちゅうちょすることなく引き戸の出入り口を開けて中へと入ります。本当は運動靴から上履きに履き替えないといけないんだろうけど……床の木が腐り穴凹だらけで、割れたガラスが散乱している廊下を素足とか、底が薄い上履きで歩くのは危険だと思います。
足の裏が真っ赤になるだけじゃおさまらないかもです。
一歩踏み出すとキィと面白い音を鳴らす床。もう一歩足を踏み出せば、グダンッ。床が抜けます。思いっきり抜けて、転げてお尻を打ってすっごく痛いです。
これは……思っていた以上に慎重に歩かないといけないかもです。全身落ちてここでオワリを迎えて、さよならするのは嫌ですから。
奥へ行きすぎるのは危険と判断し、手短にすぐ傍にあった空き教室に入りました。
やっぱり窓ガラスは割れているし床は穴だらけだったけど、黒板には相合傘とか、文化祭楽しみとか、昔この教室を使っていた人達の楽しかった思い出の落書きが残してあって、机は教
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