第零話
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―ある日―
…………ほんと、化け物だなこいつら。
俺、七宮 千尋改め、球磨型軽巡洋艦五番艦 木曾(二号)は、目の前にいる二人の働きっぷりに対してそう思った。
一人は、俺が所属している呉鎮守府の提督、神谷 大輝。
もう一人はその秘書艦、大淀さん。
「大淀、今の遠征シフトってなんだっけ?」
「そのくらい覚えといて下さい。今はバケツシフトですね。長距離練習航海と対潜警戒任務、後の一つが自由枠ですね。」
「んー、今沈んでるのは…………燃料、か。海上護衛任務行かせよう。」
二人はそんな会話をしているが、その手は異常なスピードで書類の上を走っていた。
「…………いや、これ俺が手伝うことあるのか?」
俺はそんなことをぽつりと言った。俺がしたことと言えば、倉庫まで書類を五回取りに行ったのと、二人にそれぞれ三杯ずつコーヒーを出した位だ。
「んー、そろそろ上がってくれても大丈夫だよ。ありがとうね。」
提督はあくまでそう言うが、目線は書類に向いていた。
…………普段バカな姿しか見てないから、こんな感じの提督は始めてみた。
「…………んじゃまぁ、俺は部屋に戻るわ。もう遅いからな。」
時計の針は十のところを指していた。窓の外は暗い。
「うん、おやすみなさい。」
「お疲れ様。」
二人は一瞬俺に顔を向けたが、すぐに書類に目線を戻した。
「…………おう、お疲れ様。」
俺は二人にそう言うと、部屋から出た。
「…………んー、疲れた…………疲れた?」
やべぇ、殆ど仕事してねぇ。と言うか、する仕事が殆ど無かった。
それほど二人の作業スピードは異常だった。俺たちに事務作業が回ってこないのも納得だ。
「ん、お疲れさん。ほれ。」
すると、扉の横で木曾が待っていてくれた。木曾は俺に何かを投げてきた。
キャッチしてみると、コーラだった。
「ん、ありがと。しっかし、すげえなあの二人。」
「だろうな。オレも何回か見たけど、頭おかしいとしか思えねぇもん。」
木曾はそう言うと、どこかへ歩き始めた。
「んじゃ、オレはトレーニングに戻るわ。んじゃ、おやすみ。」
「おう、おやすみ。」
木曾はそのまま歩いていった。
「さてと…………小腹が空いたし、食堂に行くかな。」
間宮さんに、『夜中に使っても良いですよ。』と言われた事があって、それ以来たまに夜食を作りに行くようになった。
「夜食と聞いてジャジャジャジャーン!」
「のわぁ!?」
急に目の前にニュッと青葉の顔が現れて、思いっきり後ろに仰け反る俺。
「いやぁ、私も明日の
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