第七章 C.D.の計略
うたわれるもの
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してギョッとする。
絶鬼の腕はすでに人の形にはなく、まるで触腕とでもいうべき細長いものになっていたのだから。
「グ・・・ごごご・・・うごゴゴゴゴがバラゴボゴボ・・・・・」
水中で溺れるような、嘔吐を続けているような。
そんな声を喉から発しながら、絶鬼の身体は徐々に吐き出す黒い肉片に包まれていった。
その中で、さらに背中から飛び出してきたそれが全身を覆う。
そこからの変化は劇的だった。
グチュグチュとそれがうごめいて、一気に膨張していったのだ。
それは元の絶鬼の大きさから、二メートルを超える肉塊と化し、さらに見上げるほどに大きくなった。
「これは・・・・?」
「これは!!!」
まったく同じ発音が二回。
響鬼のものと、ハクオロのものだ。
前者は疑問に満ち、そして後者は確信に満ちていた。
間違いない。
この感覚は間違いない。
あの形が物語っている。
見上げるほどに巨大化した肉塊が、次第次第に整えていくあの姿は、自分の知るアイツに違いない!!!
巨大な足。
まるで骨のような外殻の黒いそれは、前に三本の爪、踵に一本の爪が生えていた。
そこから延びる足首は足の大きさに比べると細く、太ももの黒い外殻を見るとまるで装甲であるかのようにも思えた。
蛹のような背中。
そして、前方に突き出したくちばしのような外殻は、後方に伸びる角まで大きなものだった。
そう、黒いのだ。
ここまでくれば、響鬼も威吹鬼もなんだかわかった。
威吹鬼など、すでに変身を済ませていた。
ただ、自分たちの知るものとは色が違う。
威吹鬼の視線が、ハクオロに向く。
そうだ。彼は白い。だが、奴は黒い。
ウィツァルネミテアとなったハクオロと、色を除けばまったくもって瓜二つの姿をしたそれを見上げて、響鬼も威吹鬼も絶句する。
ショウなど、唇を真一文字にしてそれを睨みつけていたほどだ。
そして、声を荒げ、唾が飛ぶのも憚らず、ハクオロがそれに向かって咆哮した。
「何のつもりだ。なぜ貴様が出てくるのだ!!!我が半身!!!」
現れた巨体は、ウィツァルネミテアであった。
ただ、ハクオロとはもはや別の存在だ。
元より一つの存在だったウィツァルネミテア。
神のごとき力を持ったウィツァルネミテアだが、その力を「恐れた者」と「悦んだ者」の二つの人格に分かれてそれぞれが自我を得た。
そのうちの一人が、「空蝉」ハクオロである。
そして、もう一人。
「半身」と言われるその存在は、ディーというオンカミヤリュー族の青年に憑依し、過去幾度となくハクオロの前に姿を現した。
歪んだ人類愛を持ち、戦いを糧
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