第七章 C.D.の計略
うたわれるもの
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着地と同時に、響鬼の全身にディスクアニマルが装備されていきかれは装甲響鬼へと変身を遂げた。
そして、着地からそのまま地を蹴って跳躍。
音撃を纏った刃が、絶鬼の背後からその体を貫通させていた。
「ぉお・・・おおお・・・・」
「ハァっ、ハァっ、ハァっ!!!」
感極まったかのような声を漏らす絶鬼。
そしてその背後では、音撃の刃が伸びた装甲声刃を突き出す響鬼が、息を荒げて膝を着いていた。
絶鬼の身体が輝く。
同時に、伸びた音撃の刃が収縮していき、絶鬼の身体から抜けた。
「響鬼殿」
背を向けたまま、絶鬼が口を開く。
くるりと振り返る絶鬼。
だが、響鬼はそれに対して何一つとしてモーションを取らなかった。
とる必要など、感じられなかった。
「ご迷惑をお掛けした様子である。某、ようやっと己の未練を断ち切れそうである」
そう。
彼の怒りは、世に対するもの、人に対するものだけではなかったのだ。
あの時果たせなかった約束。
それを忘れてしまっていた、自分自身。
人は容易く「悪」に落ちると叫んだのは、もしかしたらそれを忘れていた自分のことを指していたのかもしれない。
あの夜、イブキを見つけながらもその顔が邪悪な笑みに見えたのは、自分の中の「鬼」がそう見せていただけのこと。
「ようやっと取り戻せた。響鬼殿には、感謝してしきれぬ。よくぞ某を止め続けてくださり申した」
「いやぁ・・・・・偉大な先輩に、汚名着せ続けるわけにはいかないっしょ」
「ふ・・・・当代のイブキ殿」
「はい」
「お主にも同様以上の感謝を。某が自分を取り戻せたのは、お主のおかげである」
「いやぁ。かなり奥の倉庫から引っ張り出してきましたからね、これ」
もちろん、そんな簡単な話ではないだろう。
だが、イブキは必死になって説得したのだ。
今の世界がこうあるのは、過去の彼の偉業によるものだと。
それを無視していいはずがない。我々は彼に大きな借りがある、と。
「変わったのだな。時代が」
そういって、空を見上げる絶鬼。
太陽はすでに傾き、周囲は明るいがうっすらと月も昇り始めている。
土の下より這い出た時には、あの時とは違い忌々しさを感じた月。
だが、今こうしてみると違った趣として、なかなかいいものだった。
「響鬼殿。去る前に一つ、告げねばならぬ」
「なんでしょーか?」
疲れていても、それを感じさせないライトな感じで聞き返す。
絶鬼は、何か思うところがあるようだ。
口を開く。
「此度の某の復活。何故にして他の異形なる者たちと時を同じにしたのか」
「・・・なんだって?
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