第七章 C.D.の計略
うたわれるもの
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絶鬼の声から、険が落ちていく。
絶鬼の意識は、完全にこの山から離れていた。
200年の時を遡り、二人は何もかもを排した空間で向き合っていた。
「お前は・・・・私と共に行きたかったのか・・・・?」
「私はお前と共に行くべきだったのだ。行きたかったのだ。しかし、私の弱さが、お前に差し出す手を引かせてしまった」
『ゼッキ。私はいまだ、魔化魍と戦こうたことがない』
『はははは!!それは可笑しなことではないか。鬼を束ねる猛士の宗家たるお主が、あ奴らと戦ったことがないと申すか!』
『茶化すな。私にとっては大事なことなのだ』
『ふ〜む。確かに、お主はやたらめったら大事にされておるからな』
『故に、魔化魍の姿も直接見たことがない。皆が命を賭けて戦こうておるのに、私はその力がありながらこうして何もできぬ』
『ぃよし!!あいわかった。某が「決戦」と言える戦いのときには、お主と共に行こう!』
『なに!?そ、そのような大きな戦にか!?』
『応ともよ。大切な戦だからこそ、一番の友に背を守ってもらいたいのだ。だからイブキ。その時までに、その臆病を直しておくがよい』
『お、臆病ではないわ!!実戦がないだけで、私は鬼として中堅以上の実力はある!!』
『ほ〜う』
『ではその時が来たら、私はお前に付いて行くからな!』
『ならば、某はお主が付いてこれるようあの屋敷から引っ張り出してやろう』
「イブキ――――!!」
「ゼッキ。すまぬ。私の弱さが、お前を長く暗い土の下に押し込んだのだ」
「違う!!そうなったのは某の望みよ。そも、某こそが、お主を連れ出すべきだったのだ!!そうすれば、お主に死ぬまでこのような――――」
「もういいのだ。ゼッキ。今こうして話している私は、もしかしたらお前の幻想かもしれぬが――――私の心は、ようやっと悔いから覚めた。だからゼッキ。今度はお主も」
何かが、自分の身体を貫いた。
だが痛みはない。
背中から腹へと突き出した刃は、心地よい響きを全身に染み渡らせていき、彼の身体をゆっくりと分解し始めていた。
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イブキが現れ、手にした文を読み始めてから数分。
その手から紙が飛び、絶鬼がそれを見下ろすと彼の五体から力が抜けた。
同時に、段々と響鬼を拘束していた水牢が緩んでいった。
そして、バシャリとそれが解錠された瞬間に、響鬼は装甲声刃・アームドセイバーを取り出してその起動コードを叫んでいた。
「響鬼、装甲」
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