第七章 C.D.の計略
出会う絶鬼
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ような正装だ。
烏帽子までかぶり、そのような仰々しい姿で現れたのは、イブキ――――公家の血を引く、彼だった。
「お主は・・・まさか・・・・」
絶鬼は頭を振る。
違う。あの男は、すでに200年前土に還ったはず。すでに死人のはずだ。
だが、そう思わせるにはあまりにも似ていた。
隔世遺伝という言葉はあるが、しかし、それを知っていてもなお似ている。
イブキを目の前にした瞬間から、絶鬼から周囲が消えた。
ススキのざわめく音も、周囲で暴れる魔化魍の咆哮や断末魔。爆発音。
それらすべてが消え去った。
彼の心はいま、200年前のあの時にあった。
今の彼には自分と、そして目の前の男だけが残っていた。
頭では当然、理解している
しかしそれでも、絶鬼はこみあげてくるものを抑えきれなくなりつつある。
絶鬼が目の前の状況と、おのれの中の何かと葛藤していると、イブキが何かを取り出した。
それは、何かの文か。
封筒ほどの大きさに畳まれたそれを、半ば投げるように広げて、それを読み上げていく。
「絶鬼よ。もはやお前はこの世になく、儂も間もなくこの世を去ろう。だが、たとえ主に届くとは限らぬとも、死ぬ前に儂はこの文を綴ることにした」
それは、懺悔の文。
煩いと叫んで、斬りかかることができた
黙れと吠えて、殴り飛ばすことができた
邪魔だと吐き、捻り潰すこともできた
だが、絶鬼は聞いた。
その言葉を聞かなければ、ならないと思った。
イブキの独白が始まる。
絶鬼はただ、それを黙って聞いていた。
to be continued
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