第七章 C.D.の計略
出会う絶鬼
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は、別問題だが。
「音撃打」
ザシィッ、と
地面に伏せたススキを踏みしめ、転がっていた絶鬼がその勢いの反動を使って踏み込んで響鬼へと向かった。
思わず避けようとする響鬼だが、投げ付けられた絶鬼の音撃鼓・水面鼓に身構えてしまった。
最初の夜に見たはずだ。
絶鬼の音撃鼓は、敵をしばりつけるのに自分たちとは違う手段もあるというのを。
ドンッ!!
絶鬼の一発が、音撃鼓に叩き込まれる。
すると、その面からブヨンと水があふれて飛び出し、響鬼の身体を包み込んだ。
ガボガボと暴れる響鬼だが、こうなってはこの水牢から出ることはできない。
これに包まれた敵は――――そう、あの時のウブメのように――――音撃鼓から伝って来る衝撃に、身を滅ぼされるだけなのだ。
「無想連打の型」
ドッ、ドン。ドドドドド。ドドッド ドドッド ドドンドドン―――――
一連の絶鬼の技とは違う、リズミカルな音撃が叩き込まれていく。
だがその派手さの足りない技とは裏腹に、響鬼の全身を襲う音撃の衝撃は、あの激流怒涛のそれをはるかに凌駕していたのだ。
(ガッ・・・グォォォォオぉおおおお!!!)
「ゴボゴ・・・ガボボォォォがぶぉ!!!」
鈍痛の叫びは、水泡となって消える。
どこが痛いなどと、考える暇もなかった。
頭は万力に絞められたよう。
内臓は中身が絡まって悶えているよう。
筋肉は内側から逆に吹き出そうとしているよう。
まるで皮膚一枚が、暴れだす中身が飛び散らないように必死になって耐えているかのような痛みだった。
だから、響鬼は考えなかった。
考えることができなかったというのが正しいのかもしれないが、とにかく動いた。
ジタバタともがいている様にしか見えないが、響鬼は彼なりに必死だ。
そして、そのうち腰のバックルに腕が当たった。
彼の音撃鼓・火炎包が展開され、響鬼の前に現れた。
本能か、それとも身体に染み込んだ反射運動か。
響鬼は音撃棒を取り出して、それを思い切り打ちならした。
響鬼の重々しい強烈な一撃は、絶鬼の音撃に負けることなく水中を走る。
そして絶鬼の音撃鼓にまで到達し、そこから空気を伝って銅鑼のように彼に音撃を伝えた。
「ムぉ!?」
驚いたのは絶鬼だろう。
こちら側から叩いていたと思ったら、いきなり自らの音撃鼓が振動してこちら側に音撃が流れてきたのだから。
しかし、驚いたのはそれ以上の事実。
絶鬼の全身を叩いた、響鬼の逆流音撃打。それに打たれた絶鬼は確かに感じたのだ。
彼の、咆哮を
『あんたイブキを信じてやらないのかよ!!!』
思えば、この時代にも当代のイブキがいるのだ
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