第七章 C.D.の計略
出会う絶鬼
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のしれないもので構成されていた。
しかも両足は左右へばり付いていて、もはや立っているというよりは「地面(太鼓)から生えている」というのが正しい表現だ。
グジュルグジュルとうごめくそれを見て、トウカの背筋がゾワッと震えた。
かつてオンカミヤムカイの地下で戦ったスライムを思い出したが、不定形というおぞましさ以上に生理的に受け付けない何かがあった。
「何故・・・邪魔を」
「鬼は人間を魔化魍から守るもんでしょ?」
絶鬼の絞り出すような、しかし苦しそうというものではない声に、ヒビキがさらりと即答した。
悩む必要もない。考えるなど無意味。そうあるのが当然だ。
自分たちの鍛えた体は、自分以外の人たちも救うために鍛えたのだから。
「自分を守るんなら、少し護身術を習えばいい。でも、オレ達はもっと多くの人を助けたかった。だから、そのために鍛えた。鍛えて、鬼になった。違うかい?」
元よりヒビキ――――日高仁志は、いじめられていた同級生を助けようとして、しかし何もできなかった自分に腹が立ち、もうあんなことにならないと猛士の門を叩いた男だ。
誰かの為、というのは、鬼になる以前に彼自身の願いであった。
それを聞いて、くつくつと笑う絶鬼。
ブチリと脚を開き、根付いていたような足の裏をも引きちぎって前に出る。
「某はな。もとより魔化魍という悪を滅するために鬼となったのよ」
絶鬼の魔化魍との初遭遇は、森の中でのことであった。
襲い掛かってきた山賊か何かを切り殺し、その怨嗟の力で魔化魍が生まれたのだ。
無論、一侍であった彼に敵うわけもなく、死の一歩手前まで行ったところを、鬼に助けられたという。
元より悪は許さぬと刀を振るった絶鬼―――絶之清は、より醜悪なる悪があると知り鬼になった。
あれから200年。
一度は、人を滅ぼすのは違うと思ったこともあった。
だが違う。
見よ、この化け物を。この醜悪さが、今の世がどのようなものかを表している。
人はより、賢くなった。狡猾になった。
人はより、強くなった。他者を制圧した。
人はより、多くなった。蔓延った。
人の悪性にキリはないのだ。
どこかで見切りをつけねば、この世界は悪に染まる。
「人々の悪意は消えぬ。ならば、某はそれを断絶する」
「う〜ん・・・悪いところだけってわけじゃないんだけどね。人間も」
「一理ある。しかし考えて見よ。悪意なき人間が、この世に一人でも居るというのか?」
この男は、そこまで言うのか。
ハクオロやトウカ、ヒビキ一同が思ったことは、それだった。
確かに、人には悪意というものが必ずある。それはちょっとしたイタズラ心の時もあれば、とんで
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