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世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
打ち合う強者
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前より思いついていた「大地に音撃を叩き込む」方法を提案する。
だが、当時の吉野のトップたちはそれを許さなかった。

ただえさえ、鬼の数は激減していたのに、そのような賭けに出ることなどできなかった。

反対派の中には、友である公家威吹鬼もいたが、彼個人としては賛成しており絶鬼の提案を実行すべきだと言っていた。

だが当時は戒律に厳しく、公家がそのような個人の意見を出すことは許されず、猛士という組織の代表としての発言しかなかった彼に、賛成意見を述べることはできなかったのである。




「だがこのままでは、すべてが滅びる。どっちにしても滅びるのならば、賭けに出たほうが生き延びる可能性が高い」

そう言って、反対派の多い中で絶鬼は一部の者の賛同を得て半ば強引に実行。


そして彼は少数で行ったにもかかわらず、自分以外の犠牲を出すことなくこれを鎮めることに成功したのだ。
後世に残る「オロチを鎮めるには公家の血の者が必要」とされるのは、元一介の侍であった男に救われたなどと伝えられては、公家の存在意義への疑問と権力の弱体化を恐れてのこと。

※現に、現代でのオロチ現象は公家ではない響鬼主導で沈めることができた。



大地の太鼓の外から叩き込み、しかしそれだけでは足りないと悟り、自らその太鼓の中に飛び込み、地中から音撃を響かせそのまま埋もれていったのだ。
そうして、自らを「音撃の塊」として自分ごと封印したのが絶鬼だ。

その後、現代までオロチ現象は起こることなく時が流れる。


「俺が叩き込んでるとき、奥のほうにその存在を感じたから間違いない」

「でもさ、土の中で生きてたってことか?」

「いや。その時は間違いなく骨の状態だったはずだ。だが、少しずつ蓄積されていった悪意によって生まれた魔化魍が骨にへばりつき、正と邪の音撃が短期間に叩き込まれたことで蘇ったのだろう」


きっかけからこれまでの時間がかかったのは、肉体の構成に時間がかかったからではないか、とショウは推察する。


「ってことは、絶鬼はもともと正義の鬼だったってことか・・・・」

「だが資料を見ると元々厳しい正義感だったらしいからな。悪意や魔化魍の浸食を受けて、そっちが側が大きく肥大してしまったのだろう」


思いもよらぬ、絶鬼の生涯。
悪寄りで、正義となり、そして今、悪に侵食され「世直し」をしようと画策している。


次は一体、どう出てくるのか。


「放っておけば大変なことになるかもね」

「だな。あいつは今日で自分一人では到底成し得ないことを知ったはずだ」

「ということは、次にあいつは手駒をそろえようとするはずだな」

「ハクオロ!」

「絶鬼は見つかったのかな?」

「いや・
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