第七章 C.D.の計略
猛撃する絶鬼
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りしたものではない。振るわれた水鞭は、形状こそ鞭ではあるが効果は刃のそれだ。
一方、絶鬼は両手に二本構えていた音撃棒の一本を腰の後ろに収め、一本だけを構える。
両手で握り、肘を張って、顔の横に縦に構える。
まるでそれは、刀を振るうかのような姿勢だった。
八相の構え。
そして絶鬼はその構えのまま、一気に響鬼へと駆け、突っ込んできた。
「下がれ京介ぇ!!」
振り返らずにドンッ!!と後ろ肩で強鬼を突き飛ばし、迫る絶鬼に構える響鬼。
響鬼から見て左から横薙ぎに振るわれた音撃棒を、二本の音撃棒をクロスさせて受け止める。
同時に腹に蹴りをあてに行くが、即座に絶鬼は下がってそれを回避した。
攻撃に反応して下がった、というよりは、防がれた時点ですでに回避を決定していたかのような動きだ。
「なんで鬼のあんたが同じ鬼の俺に突っかかって来るのか。教えてくんないかな?」
「知れたこと。人は鬼よ。悪気こそが魔化魍を生みよる。それを捨て置く今世の鬼に、躾を与えてやろうというまでのことよ」
「躾だってぇ?俺、もうそんな歳でもないんだけどねぇ」
響鬼の言葉は、どこか気の抜けたように絶鬼の言葉に応えていく。
だが内心、響鬼は相手の力に対してどうしようかを考えあぐねているところだった。
力は自分とそう変わらないだろう。
その点において、絶望的と言うわけではない。
問題は相性だ。
鬼には、それぞれ属性がある。
炎であったり、雷であったり、風であったり。
それは使用する音撃とは関係なく決まるものだ。
響鬼は炎の打撃の鬼。
他には、雷の弦の鬼であるトドロキや、風の管の鬼である威吹鬼、という感じになる。
だが、水の鬼などというのは聞いたことがない。
水中戦が得意な鬼は過去にもいたらしいが、水属性となると――――
「確かに、人の悪い気が魔化魍を生む可能性。十分にあると思う。だけど、それを俺らのせいにされても」
「鬼とは、古来より魔を討つべき武士であるべし。それをのうのうと生き晒させる今代の鬼もまた、我が「悪」の為すところ也」
「ガッチガチだねぇ・・・「もののふ」なんて言葉まで使っちゃって」
「もはや交わす、言葉なし」
絶鬼が、口を閉じた。
おそらく、ここから何を語っても帰ってくる答えはないだろう。
ならば、勝つまで。
しかし、響鬼と絶鬼の圧倒的な違いといえば――――
(鬼との戦いってのも、修行しとくんだったな!!)
そう。
鬼同士での手合わせ程度ならば確かに経験はあるものの、それはあくまでも「魔化魍との戦い」を前提としたものだ。
鬼を敵とした戦いなど、ヒビ
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