第七章 C.D.の計略
揺蕩う鬼
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上の強鬼がいなくなったとはいえ、響鬼もまた腰を着いたこの状態から起き上がるには時間がかかる。
そしてその数秒の時間のうちに、ウブメは再び鬼を喰らおうと突進し
「う、お!!」
「食っ!?」
ゴポン、と
飛来してきた液体に尾を捕えられ、前に進むことが叶わなくなっていた。
「え?」
「なにあれ」
絶体絶命の危機はどこへやら、そんな間の抜けた声を出してしまう両人。
二人が身体を横にずらし、ウブメの後方を覗き込むと、そこにいたのは黒い鬼。
正確には黒というよりは、限りなく黒に近い青―――つまりは濃い群青色だ。
もはや並べて見せてくれないと、黒との見分けがつかないほどに濃い群青。
だがその群青は、闇夜において黒よりもなおその陰に溶け込んでいた。
「キィー!!!」
先に進めぬ、という不自由を強いられ、ウブメが抗議の声を上げる。
だがそんなことは知らぬと言わんばかりにその群青の鬼は、音撃棒の先端からさらに攻撃を放って行った。
水だ。
響鬼が音撃棒から烈火弾(火炎弾)を投げ放つのだとすれば、この鬼は水弾を投げ放っている。
その水がどういうわけか魔化魍の身体に張り付き、その動きを止めているのだ。
そしてある程度全身にそれが張り付くと、今度は音撃鼓を取出し宙にセットする。
何かに張り付いたわけでもなく、しかしそこに浮き巨大化する音撃鼓。
そしてそこに鬼が音撃棒を当てると、一気に水がボヨンと飛び出してウブメの全身を包み込んだ。
飛び出したのは水ではあるが、その溢れ出方はシャボン玉のそれに近い。
ぷくりと膨らみ、そのまま音撃鼓から離れることなく魔化魍へと延びてそれを包み込んだのだ。言わば、水のネットで捕まえた様なものだ。
そして、鬼はカンカンッ!!と音撃棒を打ち鳴らしてから振り上げ、それを振り下ろして一気に叩き始めた。
ドドッ
「音撃打」
ドドカドッ
「無想連打の型」
ドダダダダダドドドドドッッ
「ハッ、ぉオオっ!!」
リズミカルに、それでもとめどなく叩き続けられる音撃鼓。
一切の乱れなく振られ続ける音撃棒。
音撃鼓から発せられる音撃は、そのまま水を伝ってウブメの全身へと全方向から襲い掛かった。
考えてみれば、通常の音撃よりこれは強力なはずである。
何せ、水の振動は空気の振動よりも4倍は早い。
そうして鬼の音撃がいよいよ締めに入り、ダダン!と止まる。
コォォ―――という爆発前兆の音がして、それに合わせて鬼が再びカカンッ!と音撃棒を鳴らした。
そして、そのタイミングでウブメは爆発。
水はバシャンと大地に落ち、その場に沁みこん
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