第七章 C.D.の計略
揺蕩う鬼
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叩き込むのに「音撃鼓」のセットが必ずしも必要ではない。
むろん、セットすればより強いが、このように数が多い相手だとこの形態は有利だ。
強鬼はというと、こちらは音撃打に火炎鼓が欠かせないため、一体一体付け直しだ。
本来このような相手には、複数人でかかり、一体一体しっかりと多めに音撃鼓を持ち込むのだが、それを面倒くさがった彼はというと、彼独自の戦い方を会得することとなり
「ハッ!!」
ドンッ!!
「フッ!!」
ドドンッ!!
「セッ!!」
バキッ、ドン、ガッ、ドン!!
「ギィイいい!!」
「ニィアッッ!!」
掛け声と、打撃音と、爆発音。
強鬼は次々に、バケネコ倒しに成功していっていた。
音撃鼓の設置は、対象の魔化魍の肉体に直接貼り付けるように行われる。
そしてそれは、ある程度の束縛効果も得られる代物だ。
まず最初の一体目に音撃鼓を投げつけてセットする。
背後から襲い掛かるバケネコを後ろ蹴りで突き飛ばし、正面の一体に音撃を一撃で叩き込み、回し蹴りで音撃鼓を蹴り飛ばした。
すると一体目から剥がれた音撃鼓は、別の個体の胸へとセットされそこに向かって次の一撃をブチ込むのだ。
そうすることで一々音撃鼓をセットするという手間を解消し、周囲のバケネコを休むことなく次々に撃破していっていたのである。
比較的小さい等身大の魔化魍とはいえ、音撃は数撃程叩き込む必要があるのが定石だ。
だがこの強鬼、一撃を的確な個所にブチ込むことで、ただそれ一発で倒すことに成功していたのである。
これが、去年の夏の大量発生したカッパを相手に、音撃鼓なしで音撃を繰り出せるヒビキに対してスコアで勝った強鬼の技術だ。
そうして次々にバケネコの数は減っていき、中には逃走を試みる個体も現れ始めた。
そうはさせるかと、音撃棒から烈火弾を放ち焼き倒す響鬼。
だが一気に周囲へと逃げられては対処も追いつかない。
響鬼が一旦別行動をとるか、と簡単な指の動きでシグナルを送り、強鬼が頷く。
となると、現状の戦い方からして役割分担としては
向ってくる魔化魍:強鬼
逃げていく魔化魍:響鬼
ということになる。
ならば、と強鬼を中心に少し外側へと出ようとする響鬼。
だが、その瞬間に彼らに巨体が襲い掛かった。
ズォオッ、という音とともに、宙を蛇のようにくねって飛来してきたのは魔化魍・ウブメ。
牙の生えた巨大な魚に、羽根が生えた姿をしたこの魔化魍は、空を泳ぐように飛んで響鬼たちを強襲してきたのだ。
それをとっさに回避する響鬼。
すると、その先に居たバケネコたちがその牙の餌食となり、そうでなくとも巨体に撥ね飛ばされて芥と
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