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世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
揺蕩う鬼
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び出して外へ出る。
宿、とはいっても空き家となっている一軒家を借りているだけなので、外へはすぐだ。

そこから再び耳を澄ませ、あらかた方向に見当をつける。


そしてそちらへと迷いなく飛び出していき、森の中を駆け巡る。

ガサガサと自分ともう一人の駆ける音。
そして少し先から、もう一つの音が。


足音はない。
だがこのうっそうとした森の中、木々に当たらずに走り抜けることなど不可能だ。

その葉擦れの音を追い、正確な位置はわからずとも駆ける。

すると、先ほど放ったアカネタカが甲高い鳴き声を上げて居場所を知らせた。
そちらへと向きを変え、茂みを飛び越え、木々をかき分け闇の中を疾走する二人。


先ほど一度、目を覚ましていたのが功を為し、夜目が効いてこの森の中でも月明りで一応見える。


そしてその木々と闇の間に白い影を見つけると、変身音叉を取出し木に当て鳴らす。
それを額にかざし、全身が炎に包まれると二人はたちまち「鬼」へと変身してその白い影へと飛び掛かっていった。


「たァ!!」

「おりゃ!!」

ヒビキの跳び蹴りと、白い影の抱えていた人影をキャッチする強鬼。
抱えられていたのは、幼い子供だ。歳はまだ二桁も行っていないのではないか。


ルリオオカミらをその子につけて村へと帰らせ、二人は現れた白い影のほうへと向き合った。


魔化魍・バケネコである。
主に、夏に出現する魔化魍だ。まだ6月ではあるが、おそらく暖かい気候に影響されて生まれたのだろう。

大きさは等身大程度。我々とそう変わらない。
ただ、この魔化魍に限らず、夏の魔化魍というのはなかなか厄介な特徴を持っていて


「ニャア〜」

「ギニャァ!!」

「フシィ!!」


増殖するため、数が多いのだ。
このバケネコの場合、ある程度成長したら尻尾を切り離し、そこから新たな個体が出現する。

よって響鬼たちは囲まれ、こうして多くのバケネコの眼光にさらされていた。
だが多勢に無勢というこの状況にもかかわらず、響鬼と強鬼は全く持って落ち着いた雰囲気のままであった。


「あの子はディスクアニマルがついてるから大丈夫のはずです」

「ってことは、俺らはこいつら倒せばいいってわけね!!」

クンクンッ!と、後ろ腰に装着していた音撃棒・烈火を取出して回してから構える響鬼。
ベルトのバックルに当たる音撃鼓・火炎鼓を取出し、今にも投げつけようとする強鬼。


「行くよっ!!」

「はいっ!!」

響鬼の掛け声に、強鬼が動き出す。
一瞬で全身が発光し「響鬼紅」へと強化変身した響鬼は、音撃鼓なしで音撃を次々にバケネコへと叩き込んでいく。

この響鬼紅という形態は、音撃を
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