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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット4
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!?」
チョウキが不機嫌そうに間に入ってくるなり、バルジェンの左腰に抱きついてくる。
「おおう、・・・。ちょっと、歩きにくい」
「ジアーデの事はおんぶしておいて私が抱きつくのはダメだとか言うのは無しだからな!」
めんどくさいなぁ〜っと溜息をつきながらチョウキの肩に左手を回す。
歩きにくいと思ってつい回してしまってから、あっしまったと言う顔をするが時遅く、チョウキが熱っぽい視線で見上げて来た。
「いつになく、その・・・積極的だな・・・」
「・・・・・・えっと、ゴメン。疲れ、・・・そう、ちょっと脚が疲れちゃってだな」
「あ、」っと何かに気付いた様子で「す、すまぬ。そうであったな。お主は病み上がりなのだ。勝手に盛り上がってしまって、すまぬ」
「ああ、いやっ、その・・・。女の子の肩を借りるってのは少々情けない限りだが」
「気にするでない。私は嬉しいぞ、頼ってくれて」
居たたまれなくなって視線と話題をずらすバルジェン。
「所で、討伐に行ってたんだろう? もう終わったのか?」
「いや、対象の生息域が広がっていてな。あと2日はかかりそうだから、お前の事も心配だし回復アイテムも揃えようとな。急遽戻って来たのだ」
「そんなにも大変な内容なのか?」
「なに、モンスター自体は大した事もないが、探すのが大変でな。街道をキュララナ海岸めがけてひたすら歩いても依頼の討伐数に足りないのだ」
「討伐する必要あるのか?それ」
「獣の類であれば、民草に被害が出ていなければ放置しても問題なかろうがな。今回の討伐対象はスマイルロックと言う岩石に魔力が宿ったモンスターなのだ。近付かなければ害はないが、気付かずに近づいてしまうと唐突にジャンプして人の頭上に突っ込んでくる。ちなみに重さは1トンは軽いだろう」
「死ねるな・・・。でも、そんなに遭遇しないんだろ?探すのに手間取るって事は」
「遭遇する恐れがある、というレベルでの魔法戦士団からの依頼でな。被害が出る前に駆除すべき数が出現していると言う事だな」
「まぁ、妥当な依頼か」
「所でだな」
「うん」
「幾らか小遣いは置いていくから他所の女にホイホイ着いていくなよ」
言いながらキュッと抱きついてくるチョウキに、バルジェンはドギマギしながら即答した。
「わかった、わかったからそんなにギュってするな。元気になっちゃ困るところが元気になってしまう」
「具体的に?」
「言わせるんかい!?」
「ふふ、遊びが過ぎたか?」
チョウキは悪戯っぽく笑うとバルジェンから身体を離して微笑んだ。
「別に夜這いをかけにきてくれてもいいんだぞ?」
「するか! 俺はどんな卑怯者だよ!?」
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