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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン84 科学水龍と大地の龍脈
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Tへと向き直る。

「ここまで邪魔するつもりならば仕方がない、お前から消えてもらうとしよう」
「よく言うよ3戦3敗。その連敗記録、もういっぺん伸ばしてあげようか?」

 売り言葉に買い言葉を返しながらも、そう笑う口の端が引きつってはいないだろうかと不安になる。なにせこのデュエルディスク、あんな1瞬水をかけた程度の今の状態だとせいぜい1ターンやそこらしか動きそうにない。電源が切れたから仕切り直し……なんて甘い話の通じる相手じゃないだろうし、そうなった以上強制敗北とみなされるのがオチだろう。
 となると、僕に残された道はただ1つ。このミスターT相手に、ついさっき後輩にやったようなワンキルをぶちかますしかない。なんのかんの言ってもミスターTは僕が3連勝できたことが不思議なぐらいの強敵だ、口にするほど簡単にいく話でもないのは僕が一番よくわかっている。でも、ここでやるしか道はない。ここに駆けつけた時点で、こうなることはわかっていたんだ。
 あれ?……てかこれ、今気づいたんだけど。最初にミスターTの気配を感じた時点で、すぐそこでデュエルしてた十代を引っ張ってくれば割となんとかなったのではないだろうか。
 ……もうやめよう、この話は。仮定はどこまでいっても、あくまで仮定でしかない。

「さ、さあ来い!」
「では望み通り。デュエ……」
「おっと。そのデュエル、俺が代わりに引き受けよう!」

 完全に自業自得な決死隊の覚悟でデュエルディスクを構えたところで、どこからともなく鋭い一喝が飛ぶ。1瞬十代が来たのか、とも思ったが、すぐに打ち消した。いや違う、どうしてこの声を忘れられるだろう。僕とミスターTが向かい合うすぐ横の空間が突然ぐにゃりと曲がり、陽炎でも起きているかのように不安定に揺れ始める。そこからぬっと人の足が出てきたかと思うと、すぐにその上半身が1歩1歩踏み締めるようにしてゆっくりと近寄ってきた。
 ああやっぱり、間違いない。ずいぶん遅い登場だけど、待ってたよ同士。

「三沢!」
「ああ、久しぶりだな。遅くなってすまない、こちらの世界に戻るための仕掛けがなかなか整わなくてな。そちらの世界に今何が起きているかは、俺もだいたい知っている。お前がミスターT、だな?」

 相変わらず、この男は話が早い。ミスターTも僕より三沢を最優先で倒すべき対象と判断したらしく、僕のことなどすでに眼中にないと言わんばかりに三沢の方を向く。デュエルディスクを構えるのは、ほぼ同時だった。

「いかにも。多少なりとも私の知識はあるようだが、その上で私の前に姿を現すとはな」
「俺の友人が無茶したからな。もっとも、その原因は未完成品を渡した俺にもあるわけだが」
「面目ないね。ここは任せるけど……気を付けて」
「ああ。せっかくカッコつけて帰ってきたんだ、どう
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