第四十話 休暇の終焉
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
エヴァンゼリンの後日談はまたあとです。
********************************************
第四十話 休暇の終焉
宇宙暦788年 帝国暦479年 1月1日
■自由惑星同盟ハイネセンポリス 最高評議会 最高評議会議長 ディオニシオ・エンリケス
12月24日のクリスマスプレゼントとして帝国と同盟間の捕虜交換が発表されて以来,
我々の支持率は15ポイントも上昇した、此で次の選挙も安泰だ。
あとは帰還兵100万を待つばかりだ。
新年のパーティーは国防委員長が持ってきた、帝国産463年物ワインを飲み、
帝国産高級品趣向品で彩られた山海の珍味で舌鼓を打つ。
実に愉快な新年だ、市民は扱いやすいモノだ。
これで長期政権になるだろう。
宇宙暦788年 1月1日 ハイネセンポリス ある少年の日記
去年のクリスマスは生まれてから最高のプレゼントを貰えた。
お父さんが帰ってくる、帝国との戦いで捕虜になっていた、
お父さんが生きて帰ってくる、帝国人は捕虜に酷い目を逢わせるので心配したけど、
軍隊のお姉さんが家にやって来て今度お父さんが帰ってくるって教えてくれた、
今僕はお爺ちゃんお婆ちゃんと暮らしている、お母さんはお父さんが行方不明になると、
知らないおじさんとどっかへ行ってしまった。
けどお父さんが帰ってくるから悲しくないよ。
早く4月にならないかな。
■銀河帝国 アルタイル星系第7惑星の矯正区 2月1日 ヴィットリオ・エマニエール
また昨日仲間が死んだ、此で31人目だ、明日は俺かも知れない。
死体は穴に埋めるが死んだ事は届けない。
届けるとその分食料を減らされるからだ。
食料は慢性的に不足している、強い物が沢山喰い弱い物は衰弱していく、
喰える物なら何でも喰う、穴モグラはご馳走だ、木の皮や草まで喰って餓えに耐えている。
中には死んだ仲間の肉を食う奴らも居る、脳みそが一番旨いらしいが、
其処まで俺はしたくない、薬もなく体の弱い者や病気の者はバタバタと死んでいく。
此処は地獄だ敵は俺たちをこの土地に放置しているだけだ。
監視は食料を配る時だけ現れる、此処には秩序なんて無い上官も部下もない、
あるのは人望と腕力で他人の尊敬を受けるか支配するかの差だ。
同盟で威張り散らしていた上官がある朝見るとリンチで死んでいる事など日常茶飯事だ、
敵は俺たちを叛徒と言い懲罰で此処へ放置していると言うのだ、
もう二度と帰れないと思っていたが、
今日驚くべき話があった、同盟に囚われている捕虜と俺たちを交換するらしい、
100万人帰れる、其れを聞いた者達の間で牽制が始まっている、
誰でも帰りたいのだ、此
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ