~The hijack‐ANA600~
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う。
この飛行機のキャビン・デッキは、普通とは少し異なる構造になっていた。1階はバーになっており、2階、中央通路の左右には扉が並んでいる。
これは……『空飛ぶリゾート』こと、全席スィートクラスの超豪華旅客機。12の個室を機内に造り、それぞれの部屋にベッドやシャワールームまでもを完備した、セレブご用達しの新型機だ。
―ここか…。ガチャッ、と扉を開けると、
「……彩斗!?」
よし。まずは合流できたな。
「……なんでついてきたのよ」
「―『武偵殺し』― これが理由だ」
「何か分かったの?」
「分かったには分かった、が。何勝手にロンドンに帰ろうとしてる? パートナーの俺を置いて」
「えっと、それは……」
アリアが口ごもる。
「まぁ、元からロンドンに帰させるつもりはない。それに―かなえさんにも頼まれたしな。アリアを宜しく頼む、って。そう言われた以上、俺にも責任はあるわけだ。お前のパートナーとして、イ・ウーを倒し、かなえさんを釈放させるっていう、な」
―で、と俺が続ける。
「理由だったか? …強いて言えば、お前を助けるため、だな」
「あたしを助ける…?」
「そう。今までの武偵殺しの被害者…バイク・車以外にもあと1人いたんだ。浦賀沖海難事故、シージャックの被害者で…武偵庁特命捜査部員、遠山金一武偵」
「遠山ってもしかして…キンジの?」
「ああ。キンジよりも、ESSの俺よりも強い。あれほどの人が武偵殺しに倒されたんだ。 こんなことを言うのはあれだが―お前1人じゃ、勝てない。絶対に。だから俺が…お前のパートナーとして、お前を守るために、こまでやって来たんだよ」
「彩斗…………」
「武偵殺しは俺1人でも倒せない。お前1人でも同様だ。でも……俺たち『パートナー』なら武偵殺しを倒せるかもしれない」
「かもしれない、なのね。そこは」
「この世界に100%の事象は存在しないだろ?」
「まあね。 …分かったわ。2人で『パートナー』として、武偵殺しを逮捕しましょ」
「ああ」
「あと……悪かったわ。アンタを置いて、勝手に帰ろうとして」
「他人に迷惑かけたくないから自分で何とかする、とか思ってたんだろ、どうせ」
「うっ…、そうよ。悪い?」
若干赤面しつつも、答えてきた。
……………………………………………………
強風の中、ANA600便は東京湾上空に出た。
「―お客様に、お詫び申し上げます。当機は台風による乱気流を迂回するため、到着が30分ほど遅れることが予想されます― 」
と機内放送が流れ、600便が少し揺れる。
それはいいのだが……
ガガン! ガガーン!
比較的近くにあった雷雲か
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