暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
閑話12「隠れた動き」
[2/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うに、あまり見せびらかさないようにしていたが……幽世の大門が開いた事でそれは一変した。
 確かに少女は一般人だった。…そのはずだった。
 しかし、“物見の力”の“縁”を探る力と、妖を目撃した事で、“思い出した”のだ。
 それは、所謂“前世の自分”。一つ前の人生の記憶だった。
 本来なら自分ではない自分の記憶で、混乱するはずだったが、彼女は別だった。
 やけにすんなりと記憶が定着し、“物見の力”の扱い方や、妖に関する知識も覚えたのだ。

「……それで、私に出会って同行する事にしたのか」

「はい。式姫に関しても知っていましたから」

 対する、鞍馬はそこまで特殊と言う程でもなかった。
 椿や葵のように、ひっそりと生き続けていた式姫の一人に過ぎなかったのだ。
 幽世の大門が開いた際、京都に滞在していたため、そのままなし崩し的に京都での戦いに参戦し、裏で被害が出ないように奔走していたらしい。
 巧みな采配によって、優輝達にも奔走していた事は知られていなかったが。

「しかし、なぜそこまでするんだ?何か理由があるのか?」

「……幽世は、私にとっても無関係ではありませんから」

「……ほう」

 並々ならぬ事情があると、鞍馬は察する。

「その訳を聞いても?」

「……前世の私には、一人の友人と姉がいました。詳しい事情は省きますが、私を含めた三人は幽世に一度落ちたのです」

「…それで、同じ幽世が関わっている現状を見て見ぬふりはできなかったのか」

「…はい」

 理由はそれだけじゃないだろうと、鞍馬は気づいていた。
 省いた事情の中にその理由があるだろうとも思っていたが、今はそれを聞いている暇はなかった。

「……ちっ」

「っ…!」

 現れた妖に対し、鞍馬が鳥の羽で作ったような、八つ手の葉型の扇を構える。

「葉月、戦えるか?」

「……いえ、前世ならともかく、今は自衛すら難しいです。記憶に体がついて行っていないので…」

「そうか。では…」

   ―――“扇技・護法障壁”

「しばらく、そこから動かないで欲しい」

「…分かりました」

 障壁を張り、鞍馬は前に出る。

「ふむ、全盛期には遥かに劣るが……」

「ガァアアッ!」

 襲い掛かる妖に対し、鞍馬は自分の体の調子を確かめるように呟き…。

「この程度なら造作もない」

   ―――“極鎌鼬”

 風の刃にて、切り裂いた。

「遅いぞ」

「ギィッ!?」

「ふっ!」

 鞍馬は本来、術をよく扱う式姫だ。
 しかし、天狗としての身体能力がない訳ではない。
 そのため、持ち前の素早さで妖に肉迫し、蹴りで吹き飛ばした。

「直接動いて戦うと言うのはあま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ