暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第62話「集合」
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ら】

「…分かってる」

「とにかく、これであいつらの戦力の大体は分かったな。……だが、把握できたという考えは今すぐに捨てた方がいい。……私達の予測など、全て想定されていると思え」

 そういって、千冬は秋十を見る。

「……桜の相手は、お前が適任だ。秋十」

「俺……?千冬姉でもいいんじゃ……」

「私は私で、あいつよりも相手にしなければならない奴がいる。それに、あいつに打ち勝つために、様々な手を施してきたのだろう?」

「……分かった。……今度こそ、勝つ」

「それでこそだ」

 手を握り締める秋十。それ見て、千冬は満足そうに頷いた。

 ………その後も、話し合いは続いて行く。





















「………もうすぐ、もうすぐだ」

 その日の夜。元IS学園のテラスで、千冬は夜空を見上げていた。

「……長い事、待ったな。三人であの空を飛び立ちたいと願ってから」

 誰かに言うように、千冬は独り言を漏らす。

「お前たちは、こんな世の中になって、常に不満を持っていたんだろうな。無駄に天才なお前たちの事だ。思い通りにならないのは我慢ならなかったんだろう」

 この場には千冬以外誰もいない。
 監視の目もなく、あるとすれば衛星から桜たちが盗聴している可能性くらいだろう。

「……それでも、お前たちは賭けた。天才ではない、凡才の可能性に」

 千冬は秋十を思い浮かべながら、そういう。
 秋十は最初こそお世辞にも才能があるとは言えなかった。
 しかし、努力を続け、その経験を活かし、人並み以上にこなしてみせた。

「秋十は、強くなった。一夏の愚行によって、限界まで……いや、生きるのを諦める程に追い詰められたのもあってか、本当に心身ともに強くなった」

 酷い事をしたという気持ちは、千冬の中にまだ残っている。
 だが、それと同時に、乗り越えて強くなった事に嬉しさもあった。

「……覚悟しろよ、桜、束。……凡才の身であり、私の自慢の弟は、お前たち天才を今度こそ超える」

 掌を空へと伸ばし、拳を握り締める。
 来るであろう決戦に、千冬は笑みを浮かべた。















   ―――……待ってろ。大馬鹿共














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