第四章 リズと青い鳥
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音楽室
サンフェス本番から1日空いての練習、今日はコンクールで演奏する課題曲と自由曲の楽譜が配布される。
「今年は課題曲「ラリマー」、自由曲「リズと青い鳥」です。どちらも高難度の曲でありますが、皆さんの実力に相応しいと私は考えています。そしてオーディションですが、期末のテスト週間前に2日に分けて行います。メンバー、ソロ担当者はオーディションによって決定しますのでその心積もりでいてください」
「はい!」部員たちが力強い返事をする。
「良い返事です。では、このあとパート練習に移ってください。私は職員室にいますので何かあれば連絡ください」そう言うと滝先生は音楽室を後にした。
滝先生が出て行ったのを見計らって吉川部長がみんなの前に立つ。
「えっと、みんなちょっとだけええか?大事な話があるねん、友恵こっち」その声に友恵が反応し前に出て声を出す。
「急なお知らせで悪いねんけど私、加部友恵は吹奏楽部の奏者を辞めることになりました。オーディションも参加しません」教室がざわつく。
「ストップストップ!そんな大騒ぎせんとって、悲しいお知らせじゃないねん。部活を辞めるわけじゃなくてマネージャーとして部に貢献したいと思ってるんや!楽器は吹けへんけど他のところでみんなをサポートしていこうと思う。だからこれは前向きな決定なので余計な心配せんといてな、じゃあ改めてこれからもどうぞよろしくお願いします」勢いよく頭を下げた加部先輩に吉川部長が真っ先に拍手を送った。
「それじゃ、今からパート練習に移ってください。時間取らせてごめんな」それを合図に部員たちがぞろぞろと加部先輩のところに向かっていき理由を聞いている。
俺の隣に座っていた久美子先輩の顔は怒りにも悲しみにも取れる複雑な表情をしていた。久美子先輩と加部先輩はずっと指導係として共にしてきたのだ。それなのに今まで知らされてなかったのがショックなのだろう。久美子先輩は険しい表情で立ち上がり加部先輩のところに向かった。
「加部ちゃん先輩話があります」真剣な声に加部先輩はバツの悪そうな顔になる。
「やっぱり来ると思ってたよ、黄前ちゃん…」そう言って2人が音楽室を後にする。それを追うようにして中川先輩も音楽室を出て行った。
20分後 低音パート練習教室
「あー!2人ともやっと来た!緑、全員揃うのずっと待ってたんやで」
「ごめん緑、ちょっと加部ちゃん先輩と話してて…」
「すまんすまん」久美子先輩と中川先輩が謝る。
「まあ事態が事態やし許します!それよりコンクールの曲!」そう言って川島先輩は伊達眼鏡をかけ黒板の前に立ち先ほど用意したCDプレイヤーにCDを入れ再生する。
流れた曲は課題曲である「ラリマー」だ。
「今年の課題曲の中で1番好きなやつだったんで北宇治がこれを演奏するって聞いて緑めっちゃ嬉しいんですよ!
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