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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
帝都にて
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な成績を収めたクラスの担当講師には特別賞与が出るため、今回は二年二組の担当講師であるグレン=レーダスが大はりきりしていた。
 入学して間のない秋芳はみずからの意思で参加を見送ることにした。
 そもそもクラス対抗戦にもかかわらず、秋芳は『一年セリカ組』ただひとりの生徒である。
 この魔術競技祭。ひとりの生徒が全種目掛け持ち可能なシステムなので、べつにひとり参加すること自体はおかしくないし、参考のために好きな競技をひとつ選んで経験してみることもできるのだが、いまいち気が進まないので辞退した。
 担任であるセリカは特に無理強いすることなく秋芳の意思を尊重した。
 悪魔や吸血鬼を倒し、ドラゴンを手なずけるようなやつには、学生のお遊びなんて今さら物足りないんだろう。
 勝手にそう推し量ったようだが、少しちがう。
 秋芳はイベントごと自体はきらいではない。むしろ好きなほうだ。
 だか、この魔術競技祭はどうにも好きになれなかった。
 あまりにも内輪向けだったからだ。
 たんなる軍事技術ではない、破壊や殺人の技ではない、魔術の楽しさ面白さ便利さを外部に向けて宣伝するイベントだと思っていたのだが、ちがった。
 参加者も観戦者も王族や貴族といった魔術関係者のみ。一般人は蚊帳の外だ。
 あくまで内々で己が技量を誇示するだけ。
 これがどうにも好きになれない。
 魔術の剣呑さを払拭して娯楽性や利便性を人々にアピールする良い機会だと思うのだが、そういうことは求めていないらしい。
 もったいない。
 それに、それならばそれで遊興が過ぎる。
 軍事技術をもちいてのお遊びではないか。
 魔術は人殺しの技術だと断言したグレンがそれに乗っかっている姿は、秋芳を鼻白みさせた。




 
 受勲者たちはみなおなじホテルに宿泊することになっている。
 その名も『ゴールデンシープ』。アルザーノ帝国が誇る魔導技術が惜しげもなく使われており、全館に魔術による照明が灯され、魔力を動力とするエスカレーターやエレベーターが備えられている。すべての個室に水道がいきわたり、シャワーつきのバスルームが完備された一流ホテルだ。
 無位無冠の身から爵位を授かる者は秋芳のみで、他の出席者は代々の爵位を襲爵する者や功績が認められて陞爵する者、特別な勲章を授与される者、みな由緒ある貴族たちばかりだった。
 宿泊代はもちろん、朝夕の食事も無料だが、のんきにただ飯を楽しむ気にはならなかった。
 貴族同士のつき合いというのも大変だ。公の場では爵位の位で挨拶する順番などの決まりがあり、なかなか気を使う。
 食事の後は自然とおなじ位の者同士が集まり、歓談する流れとなるのだが、やはり主な話題は叙勲式の延長についてだった。

「いったいいつになったらはじまるのやら、せめて延長
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