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歌集「冬寂月」

[2]次話



 冬枯れの

  野辺の草々

   あわれなる

 春そ来れば

   芽吹くと思ゑど



 寒さに枯れ果てた多くの草…蓬も芒も宵待草も露草も何もかも頽れ、野に朽ちている…。

 なんと哀れなことか…しかし、春になればまた芽吹き、溢れんばかりの緑に噎せることだろう…。

 ただ…私にはそんな時代はもうないのだが…。



 寂しさに

  軒下に出でて

   眺むれど

 いづこも冬の

    夕に陰りし



 寂しくて戸を開き、軒下へ出てみれば…結局はどこもかしこも寂しさに埋もれるようだった…。

 冬の夕暮れは早く…尚の事、寂しさは募りゆく…。
 全ては陰り…身も陰り…逃げ場のない寂寥は、一体どうしたらよいのだろうか…。




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