第三十二話 六人目の手掛かりその二
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「お魚を食べ過ぎてってあるけれど」
「あれは間違いないよな」
「川魚を食べていてね」
「そうなったんだよ」
「そうだよね」
「絶対にな」
「この世界でもでござる」
進太は二人にも話した。
「やはりでござる」
「川魚だからな」
「どうしてもね」
「だからでござる」
「保存も兼ねて」
「そうしてだね」
「冷凍をしているでござる」
氷の術を使ってというのだ。
「そうしているから大丈夫でござるよ」
「それは何よりだな、やっぱりな」
久志はカルパッチョを実に美味そうに食べながら話した。まるで刺身を食べる様にそうしている。
「魚はこれだぜ」
「生でござるな」
「ムニエルもフライも煮てもいいけれどな」
それでもというのだ。
「やっぱりな」
「生、お刺身にしてもカルパッチョにしても」
「これだぜ」
順一にも笑って話した。
「本当にな、ただな」
「ただ?」
「これで醤油があればな」
久志は笑ってこちらの調味料の名前を出した。
「最高なんだけれどな」
「ああ、それはないね」
淳二も醤油と聞いて言った。
「残念だけれど」
「西洋にはな」
「ローマ帝国の頃はあったんだよね」
「あれだろ、しょっつるだろ」
ローマ帝国の醤油についてだ、久志はこう淳二に話した。
「それは」
「そうそう、魚醤っていうから」
「しょっつるだよな」
「今で言うそれだよね」
「タイとかベトナムじゃナムプラーだな」
「そうだね」
「昔は醤油はそっちだったからな」
大豆から作る醤油でなくだ、孔子が論語で言っていた醤、即ち醤油についてもしょっつるの類だった。
「ローマ帝国だってな」
「お醤油はしょっつるでね」
「海の幸を刺身にしてな」
「食べてたんだよね」
「そうだったでござるな、この島には海がないでござるから」
進太がまた言ってきた。
「だからでござる」
「そうした海の幸もなくてか」
「魚醤もでござる」
「ないか」
「川の幸をこうして食べることはあるでござる」
カルパッチョとしてだ。
「しかし醤油はでござる」
「ないな」
「そうでござる」
こう久志に話した。
「残念でござるが」
「あんたにしてもか」
「拙者も和食が好きでござって」
進太はあちらの世界での食の嗜好も話した。
「そしてでござる」
「醤油も好きか」
「しょっつるも」
「通だな」
「あの匂いも好きでござる」
独特のあの匂いもというのだ。
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