巻ノ百十五 異端の者達その四
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「頭のいい御仁だ、だからな」
「我等が来る前にですか」
「調べられるのを察して」
「そして、ですか」
「もう足跡を消している」
「左様ですか」
「天下を狙っておられるが」
今も尚、というのだ。
「しかしな」
「それを表に見せられず」
「誰が見ても野心は明白ですが」
「表では面を被り」
「危うくなると去られる」
「そうされるのですな」
「そうじゃ、だからな」
それ故にというのだ。
「伊達家の証拠は最早あるまい」
「だからですな」
「幕府としては伊達家も何とかしたいですが」
「それは適わぬ」
「残念なことに」
「そうであろう、しかし大久保家と伴天連の者達は違う」
残された彼等はというのだ。
「大久保家はもうご老中がおられぬ」
「はい、当のご本人が」
「もう世を去られています」
「それではですな」
「優れ者であられたあの方がおられないので」
「我等に気付いていることもですか」
「ない、そして気付かれることもな」
これからそうなることもというのだ。
「ないわ、残るは伴天連の者達じゃが」
「あの者達ですな」
道化が応えた。
「この度厄介なのは」
「左様」
その通りだとだ、服部は道化に答えた。
「その通りじゃ」
「やはり」
「うむ、しかしな」
「それでも」
「先程話にも出たがあの者達は妖しい者達」
その伴天連の者達はというのだ。
「だからな」
「我等十二神将でも、でありんすな」
絡繰も今は口元の笑みを消して言ってきた。
「油断せず調べあちらが襲って来れば」
「全力で向かうか逃げよ」
そうせよというのだ。
「よいな」
「そのうえで」
「敵は殺せ」
そうせよというのだ。
「わかったな」
「承知したでありんす」
すぐにだ、絡繰は服部に答えた。
「それではわっちが伴天連の者達と対すれば」
「殺せ。他の者達も同じ」
服部は絡繰以外の十二神将の者達にも話した。
「皆伴天連の者達にはな」
「躊躇することなく」
「殺すのじゃ、拙者もそうする」
服部自身もというのだ。
「この度は拙者自らお主達全員を率いあたっているが」
「それでもですな」
「伊賀いや天下最強の忍であるお主達でもな」
そして史上最強の忍者と言われる服部でもというのだ。
「油断せずにな」
「即座にですな」
「その術で殺す」
「そうせよというのですな」
「その通りじゃ」
まさにというのだ。
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