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真田十勇士
巻ノ百十五 異端の者達その三

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「この辺りにも出て来ているか」
「伴天連の妖術は面妖極まりない」
 幻翁もその目を剣呑なものにさせていた。
「まだわかっておらぬことばかりだしのう」
「その者達を物見に行かれたのなら」
 土蜘蛛も警戒する顔である。
「半蔵様なら大丈夫であろうが」
「我等のうち一人か二人だけでもお供をさせて頂きたかった」
 無明は表情のない顔で言った。
「そう思うが仕方のないこと」
「すぐにここに来られる」
 道化は笑っていた、何の心配もなく。
「わし等は待っていればいいこと」
「道化の言う通り、ここで待とう」 
 最後に神老が一同をまとめた。
「半蔵様がここに来られるのをな」
「そうそう、私の予想だと多分その辺りの物乞いか旅の者位だから」
「特に何もなく」
「ここに来られるよ」 
 妖花も笑って言う。
「安心していればいいよ」
「では」
 十二神将達は自分達の筆頭である妖花のその言葉に頷いた、そのうえで彼等の主を待っていたが。
 程なくして炎が起こりそこからだった、独特の袖が広く丈の長い忍装束を着た半蔵が来た。そのうえで。
 己の前に片膝を着いた十二神将達にこう言った。
「よく集まってくれた」
「はい、それでなのですが」
 神老がその半蔵に問うた、皆まだ頭を下げている。
「怪しい者がいたとか」
「何でもなかった、只の山の民だ」
「そうですか」
「そうだ、だから何もしなかった」
 彼等を確かめてもというのだ。
「全くな」
「それは何より」
「我等は忍、人を殺めることもある」
「しかし」
「無暗な殺生は断じてならぬ」
 毅然としての言葉だった。
「伊賀の掟にあるな」
「はい、確かに」
「だから拙者もだ」
「山の民を放っておいた」
「供をさせていた者達は持ち場に戻らせた」
 彼等にも指示を出したというのだ。
「そしてだ」
「半蔵様はですね」
「ここに、ですね」
「来たのだ」
「では」
「顔を上げるのだ」
 こう十二神将達に告げた。
「いいな」
「わかりました」
「それでは」
 十二神将達も頷い顔を上げた、そしてここでだ。服部は彼等を立たせそのうえであらためて話をした。
「ここに集まってもらったのは他でもない」
「このまま調べていき」
「そしてですな」
「大久保家と伴天連、伊達家のつながりの証拠を手にする」
「それですな」
「うむ、しかしな」
 服部はこうも言った。
「どうも伊達家はな」
「既にですか」
「足跡を消している」
「そう思っていい」
 彼等の場合はというのだ。
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